世界の投資の主流「ESG投資」とは? 強制労働への情報開示も

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。4月19日(月)放送の「フラトピ!」では、“ESG投資”を深掘りしました。

◆昨今話題の"ESG投資”とは?

生命保険会社が相次いで導入を発表している、環境や社会問題への取り組みを重視した「ESG投資」。Eは「環境(Environment)」、Sは「社会(Social)」、Gは「ガバナンス(Governance)」のことで、これら3つの要素を考慮した企業に投資することをESG投資と言います。

生命保険会社最大手の「日本生命」は今年3月、ESG投資に関する組織を新設し、取り組みを推進。社会に積極的に貢献しようとする企業は、持続的な発展が期待できるとの見方も広がり、近年拡大が続いています。

私たちの身のまわりのことで言えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が早い段階で年金基金の運用の一部をESG投資に充てると表明し話題になりましたが、日本ではまだまだ浸透していないのが現状です。

そんなESG投資について詳しく見てみると、「環境」については「環境汚染への配慮」や「地球温暖化対策」で、「社会」は「人権の尊重」や「ダイバーシティの推進」などが挙げられます。これは、いわゆる強制労働や児童労働、さらには土地の収奪など「そういうことを企業はもうやってはいけない、人権に配慮していない企業への投資はリスク」とキャスターの堀潤は解説。また、「ガバナンス」は、「積極的な情報開示」や「コンプライアンスの遵守」で、今はこれらが投資の基準となっていると説明します。

◆欧米に比べ、日本はESG投資が遅れている理由

世界のESG投資の状況を見ると、やはり欧米は早く、各国の証券会社で導入されている一方で、カナダ、オーストラリアやニュージーランド、そして日本はかなり立ち遅れています。

そんな日本の現状に堀は「きちんと投資環境を作っていくことが大事」と訴え、問題点として「人権の尊重」、「ダイバーシティの推進」、そして「積極的な情報開示」、「コンプライアンスの遵守」の4つを提示。例えば人権に関しては、正規・非正規で大きな格差があることなども関わってくると言います。

キャスターの田中陽南は、特にガバナンスが気になるようで「漏れてしまうような形で出ることはあっても、情報開示は少ない」と不満を述べ、「ESG投資はそうした取り組みを外から監視できるので、もっと広まっていくと良いと思う」と期待します。

ESGについては、オーストラリアの政府系のシンクタンクが発表したウイグル族の強制労働を示す報告書のなかに、日本企業14社を含む大手グローバル企業が挙げられ、サプライチェーンのなかで取引先がなかったのか問われています。この問題に対し、NPO法人ヒューマンライツ・ナウや日本ウイグル協会が該当企業に調査・情報開示を求めたところ、13社は強制労働への関与を否定。そして1社は無回答でした。

堀はつい最近、ある会合でその該当企業が記者からウイグルの問題への対応を求められているところを目撃。すると、その企業の担当者は「政治問題なのでわかりません」と返答していたそうで、「人権の話は政治問題だから民間企業は語りづらいというのがあるよう」と推察します。

番組Twitterには「株価が下がるから否定はするだろうね」とのツイートが寄せられていましたが、堀は「今はこれが逆」と指摘。しっかりと調査し、取引があれば認め、見直したことを報告するなど「きちんと公開ができてこそ株価が上がる時代に入っているということに、ぜひみなさん気付いてください」と呼びかけていました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

© TOKYO MX