外国人捕虜ら弔う 追悼記念碑が完成 長崎原爆資料館前 福岡俘虜収容所第14分所で被爆

追悼記念碑に献花する朝長代表(左)=長崎市平野町

 戦時中、長崎市幸町にあった福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所で被爆し、命を落とすなどした外国人捕虜らを追悼する記念碑の完成式が4日、同市平野町であった。関係者は「日蘭合作でこの地に建立できたことは大変意義がある」とし、戦争、被爆の歴史を後世に語り継いでいく決意を新たにした。
 市民有志の建立委員会などによると、第14分所は1943年、爆心地から1.7キロの三菱重工業長崎造船所幸町工場内に設置された。原爆投下当時には、オランダや英国などの捕虜約200人が収容され、8人が被爆死したとされている。
 記念碑は長崎原爆資料館入り口前の市有地に設置。御影石製で高さ約2メートル、幅約2.8メートル。第14分所の屋根のほか、折り鶴や長崎の鐘など平和を象徴するデザインがあしらわれている。碑には「平和」「友情」「自由」の文字が日本語と英語で刻まれた。
 完成式には遺族も参加予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、取りやめた。オランダ人元捕虜の遺族のロブ・シュカウテンさんは「平和、友情、自由の願いが国を超え、戦争と原爆の惨状を体験した人々とその子孫に伝わっていくことを願っている」とメッセージを寄せた。
 今後、記念碑の説明板にQRコードを設け、スマートフォンなどで読み取れば、元捕虜約500人の名簿も見ることができるようにする予定。建立委員会の朝長万左男代表は「小中学校の平和教育で訪問するなど、特に若い世代がここに来て(建立の)意味を知ってほしい」と語った。

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