誕生・長崎ヴェルカ(下) 展望 強さと楽しさを提供

Bリーグ3部(B3)のクラブ分布図

 Bリーグ3部(B3)は、プロと企業のクラブが混在するため「Bリーグの登竜門」とも位置づけられている。試合数は10月から翌年5月までの60試合前後。毎週土日の連戦が多く「参入初年度から毎年昇格」を掲げるヴェルカにとってはいきなり優勝が目標になる。
 そこで気になるのはヴェルカのチーム力。ここまで4選手の契約しか発表されておらず、現時点では未知数と言えるが、ゼネラルマネジャー兼監督の伊藤拓摩(38)の目に留まった好選手がそろった。ガードの松本健児リオン(26)と弓波英人(21)、フォワードの松井智哉(22)と榎田拓真(22)の4人全員に外角のシュート力があり、各選手がポジションにとらわれず、攻撃的で展開の速いチームを目指していく下地はできつつある。
 また、B3は外国人選手の高さと身体能力、技術を生かして得点するチームが上位に絡んでくる傾向があり、まだ外国人選手の契約がないヴェルカも開幕に向けて何かしらの動きがあるはずだ。7月までには選手12~13人とスタッフの大枠を固めるとしている。
 環境整備も鍵を握る。長崎市のホームアリーナが完成するまでは県内各地で試合を開く意向で、クラブはすでに会場候補をリストアップ。“お披露目戦”として、開幕前の8月にプレシーズンマッチを県内で開く準備を進めている。
 さらに、昨年10月末に設立したファンクラブ会員はすでに2千人を突破。B3の1試合平均入場者数約500人を大きく超えている。入場者数はB2になると平均1300人、B1で平均3千人と増えていくため、より地域に根付いた普及活動を続けながら、ファンを増やしていく構えだ。
 伊藤はずっと言い続けている。「勝っても負けてもファンに楽しんでもらうことが大事」だと。強さだけでなく、エンターテインメント性も重視する。そのために、ヴェルカの始動に合わせてチアリーダーチームも発足させた。こうした姿勢に共感する声は多く、ユニホームに名を連ねるスポンサーは現時点で既に13社。関心の高さがうかがえる。
 期待通りの強さと楽しさを提供して、長崎の新たな希望となれるか。約5カ月後、試合開始のブザーが鳴る。

 


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