誕生・長崎ヴェルカ(上) 始動 バスケの価値高める

B3理事会からの2021~22シーズンの参入が認められ、喜びに沸く岩下社長(左から3人目)らスタッフ陣=4月14日、佐世保市内のクラブハウス内体育館

 「長崎ヴェルカ、参入が決定しました!」
 4月14日夕。佐世保市のクラブハウス内体育館。社長の岩下英樹(39)の声が響くと、吉報を待ちわびていたスタッフたちがどっと沸いた。プロバスケットボールクラブ創立を発表してからわずか約5カ月。長崎初の「Bリーグクラブ」は、とんとん拍子に誕生した。
 プロサッカークラブのV・ファーレン長崎に続く新規スポーツ事業を模索していたジャパネットホールディングス(佐世保市)が、Bリーグ参入を表明したのは昨年7月。以降、急ピッチで運営計画を練り上げ、新会社設立、クラブ名の公募、選手選考トライアルと前のめりで準備を進めてきた結果、予定より早く参入が認められた。
 バスケットの競技人口は世界で4.5億人とサッカーの2.6億人を大きくしのぐ。男女比率が同水準であるのはサッカー、野球にない大きな魅力だ。2015年に誕生したBリーグも右肩上がりの成長を続けており、ジャパネットはこうした点に将来性を見いだして参入を決めた。
 現在は36都道府県にBリーグクラブがあり、最高峰リーグに当たる1部(B1)に20チーム、2部(B2)に16チーム、3部(B3)に11チームが参戦している。長崎ヴェルカは最下部のB3からの挑戦。同じタイミングでアルティーリ千葉、東京サンレーヴス、山口ペイトリオッツの参戦も決まったため、10月に始まるシーズンは15チームで争うことになる。
 当面の目標は参入初年度からの2年連続昇格。「最短2023年でのB1入り」とかなり強気だ。B1の強豪、アルバルク東京を率いた経験がある伊藤拓摩(38)のゼネラルマネジャー(GM)兼監督就任を目玉に、高い目標に見合う選手をそろえたいとしている。
 伊藤は「バスケットボールの価値を、もっと日本で高めたい」と夢を語る。その可能性を秘めたクラブが、長崎で産声を上げた。
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 長崎初のプロバスケットボールクラブとなる長崎ヴェルカのB3参入が決まった。長崎の地にBリーグ文化を根付かせ、飛躍できるか。クラブの狙いや地域へ期待される効果などをまとめた。(敬称略)

 


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