【森友裁判】ようやく認めた〝赤木ファイル〟の存在…妻の思いが世論動かす

会見を行った松丸正弁護士(左)と生越照幸弁護士

「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(54=当時)が、決裁文書改ざんを強制され自殺したとして、妻の雅子さん(50)が国と佐川宣寿元国税庁長官(62)に計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、国は6日、俊夫さんが改ざんの過程を書き残したとされる〝赤木ファイル〟の存在を認めた。原告側代理人が明らかにした。

これまでの訴訟で原告側は、俊夫さんが受けた心理的負荷の強度を立証したいとして、赤木ファイルの提出を求めてきたが、国は「争点に関係がない」と主張。ファイルの存否すら明らかにしていなかった。しかし、大阪地裁が3月の進行協議で「仮に存在するのであれば、任意の提出を検討してもらいたい」と要請。6日までに回答するよう求めていた。

国はこの日、赤木ファイルの存在を認め、6月23日の第4回口頭弁論に任意で提出する方針を示した。情報セキュリティーの観点や職員の情報を公にした場合、本人やその家族の私生活の平穏が脅かされる恐れがあるとの理由で、マスキング処理を行った上で提出する。処理の範囲はできる限り狭いものにするという。

原告側の生越照幸弁護士は「かなり踏み込んだ内容。『あったけど捨てた』というんじゃないかとも思っていたので、安心してホッとした」と安ど。一方で、「ある程度、個人名も出していただかないと分からない部分もある」とマスキングの程度を気にかけた。

さらに、赤木ファイルにはドッチファイルにとじられたものとパソコンに保存されたものの2種類が存在することから「後者についてはレスポンスがない。今回開示されるものと同一のものなのか確認する必要がある」とも語った。

国が赤木ファイルの存在を認めたことについて、法曹関係者は「森友問題発覚以降、財務省は文書があるのに『存在しない』と繰り返してきたが、赤木さんの妻の思いが世論を動かしてきたことで『ファイルはある』と証言する職員が出てくる可能性もある。認めざるを得なくなったのでは」と推測した。

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