相模原市、やまゆり園でのパラ採火撤回 遺族らの反対受け

相模原市役所

 相模原市が東京パラリンピックの採火式を、2016年7月に入所者ら45人が殺傷された県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」(同市緑区)で行うとの方針を撤回することが6日、市関係者への取材で分かった。

 市は同園での採火式の実施について、県や園を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」には報告していたが、事件の遺族や被害者家族には事前に説明しなかった。

 遺族や被害者家族は「家族が犠牲になった場所で採火が行われるのは違和感がある」「遺族の気持ちがないがしろにされている」、「なぜ事前に相談しなかったのか」などと、市の対応に抗議。同園での採火式の撤回を求めていた。

 これを受け、本村賢太郎市長は「採火場所の変更を含めて再検討する」と表明していた。

 こうした経緯から市は、同園での採火について、遺族や被害者家族らの理解を得ることは難しいと判断したとみられる。本村市長が7日に記者会見で発表する。

 市は昨年10月に同園で採火を行う方向性を決定。今年2月に、県や「かながわ共同会」に報告し、3月末に「事件を風化させず、共生社会を築く誓いを込める」などとして、同園で8月15日に採火を行うと正式発表していた。

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