【新型コロナ】まん延防止追加「連休後なぜ」 神奈川8市町、飲食業からため息も

大型連休中は大勢の観光客らでにぎわった鎌倉小町通り=4日午後、鎌倉市

 新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」を巡り、県が2度目の対象区域拡大を決めた7日、新たに追加された8市町で困惑と落胆が交錯した。「大型連休後になぜ」「次は適用されると覚悟していた」。アルコール類の提供停止要請が降りかかる飲食業からは悲鳴と不満が噴出、政府や自治体に対する注文も相次いだ。

 12日から対象区域に加わるのは、横須賀、藤沢、茅ケ崎、逗子、三浦、伊勢原、葉山、寒川の6市2町。湘南地域や三浦半島などは大型連休中に多くの観光客らでにぎわい、一部では「横浜など『禁酒』エリアから飲みに来る客がいる」との懸念も聞こえていた。

 「藤沢市がなぜ適用外だったのか、エビデンス(科学的根拠)に基づく情報発信がなく、理由が分からなかった。協力しようにも判断基準が示されてない」

 元県立高校教諭の女性(71)は4月28日の6市拡大時に藤沢を含めなかった県の対応を疑問視し、「学術的知見」を軽視しているように映る政権の姿勢にも懸念を示す。「専門家が積み上げた知見を総合的に生かせる仕組みを欠き、政権幹部が聞く耳を持っていない」とし、説明責任を果たすよう求めた。

 一方、逗子市の無職女性(71)は「市内の感染が急増しているとは思わないが、近隣市と同じ形が良いと思う」と評価。安心感は増すとした上で「やるなら大勢が市内に訪れる連休中の方が良かったのではないか。今更感もある」とも語った。葉山町の50代女性会社員も「天気が良い日に三浦半島を訪れる多くの人を抑えられるなら良いと思う」と、重点措置の効果に期待を寄せた。

 「酒が出せないなら休業するしかない」

 追加エリアの飲食店からは悲鳴が上がる。横須賀市で居酒屋を営む40代の男性は、「急に定食屋みたいにすることはできない。今後の対応は休業中に考えるしかない」と声を落とす。

 京急線三浦海岸駅近くでイタリア料理店を営む男性(44)も「本当ですか」と戸惑いを隠せず、「(夜は)お酒に合う料理を出している。酒が提供できないとダメージは大きい」と不安を口にした。

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