長崎県内聖火リレー 喜び、重みかみしめて 草野仁さん「五輪、全員で必ず成功」

聖火皿に火を移した最終走者の草野さん=長崎水辺の森公園

 57年ぶりに長崎県内で聖火リレーが行われた7日。新型コロナウイルスの影響で1年延期され、今も感染が拡大する中、走者は喜びや重みをかみしめながらトーチを掲げた。沿道では声援に代えて拍手を送り、観覧を制限するなど感染対策も施しながら、89人のランナーを後押しした。
 第1走者を務めたのは2014年長崎がんばらんば国体の空手で団体、個人優勝した宮川源太さん(39)。「僕でいいのかなとプレッシャーがあった」という思いもあったが、沿道に立つ空手の教え子の家族、知人らに勇気づけられた。「コロナで声は出せなかったけれど、手を振り、目で訴えてくれた」。大役を果たした後はほっとした表情を見せた。
 沿道では先導車が密にならないように呼び掛け、市民らは小旗や手作りの横断幕などを手に見守った。南島原市の無職、小林三一郎さん(76)は「前回(1964年)の聖火リレーは街頭テレビで見た。今回は実際に見て素晴らしかった」と感激した様子。学校近くを聖火が通った雲仙市立愛野中3年で生徒会長の森藤孝介さん(14)は「トーチを合わせて火を移すところも見られて、いい思い出になった」と声を弾ませた。
 諫早市の中心部を走ったジャパネットたかた創業者でサッカーJ2、V・ファーレン長崎前社長の高田明さん(72)は「スポーツの素晴らしさ」をアピール。「コロナ禍で世界が疲弊している中で無観客とかいろいろな意見があるが、どんな形でも選手が一生懸命走っている姿ほど落ち込んだ気持ちを元気にするものはない。五輪をするんだったら、感染対策をしっかりして、立派に成功してもらいたい」と開催を強く願った。
 第1日ゴール地点となった長崎市の長崎水辺の森公園は、コロナ対策で無観客となったため、到着を祝う「セレブレーション」のプログラムも簡素化された。最終走者を務めた島原市出身でキャスターの草野仁さん(77)が聖火皿に点火。「東京五輪を全員で必ず成功に導いていきたい。頑張っていきましょう」と力強いメッセージを送った。


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