高齢者ワクチン「接種の加速化を」 沖縄県医師会、北部12市町村に要望

 沖縄県医師会は7日、北部12市町村に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を希望する65歳以上全員を対象とした1回目の接種を6月中に、2回目も可能な限り7月中に終えるよう要望した。宮里達也北部地区医師会副会長は「市町村で予約管理をして、集団接種、個別接種、施設への訪問接種を組み合わせれば接種を加速させることは可能だ」と協力を呼び掛けた。県医師会が特定の地域に接種の前倒しを求めたのは初。県医師会の安里哲好会長は「北部に他地域のモデルになってほしい」と述べた。

 市町村長らは「前倒しで接種を進めるには現時点で医療従事者が足りない」(知花靖国頭村長)「保健師が不足しマンパワーが課題だ」(渡具知武豊名護市長)と人手不足を課題に挙げた。

 北部12市町村の65歳以上の高齢者は約3万3836人。4月30日までにワクチンの必要回数の6万7672回分のうち、3万2175回分が分配済み。12市町村のうち高齢者への接種完了が8月以降になる見通しは名護市、金武町、今帰仁村、国頭村。

 安里会長は「新型コロナで亡くなるのは高齢者が多い。これから第5波も来るはずだが、ワクチンが大きな力になる」と述べ、発症予防効果や重症化予防効果に期待を示した上で、早期接種に向け北部12市町村と連携を強化する考えだ。

 政府は6月末までの配分計画を全国の市区町村に通知し、高齢者への2回接種終了を7月末に前倒しするよう自治体に要請している。安里会長は記者団に「政府の要請と今回の協力依頼は関係ない。住民の安心のため接種を加速化させてほしいと前々から呼び掛けていた」と説明した。

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