トップ2台が2度脱落する大乱戦をコルドウェルが制す。岩佐歩夢は7位入賞【FIA-F3第1戦スペイン レース2】

 5月8日(土)、2021年FIA-F3第1戦スペインのレース2が引き続きバルセロナのカタロニア・サーキットで開催され、オリ・コルドウェル(プレマ・レーシング)が優勝。岩佐歩夢(ハイテックGP)は7位だった。

 レース2のスターティンググリッドはレース1の結果が反映され、さらに上位12台がリバースグリッドとなる。ポールはレース1で12位だったエンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)。2番グリッドにはダービッド・シューマッハー(トライデント)と往年のビッグネームが並ぶ。

 3番手にマッテオ・ナニーニ(HWAレースラボ)、4番手はビクトール・マルタンス(MPモータースポーツ)。レース1で5台を抜いた岩佐は14番グリッドから入賞を狙う。快晴のバルセロナは気温25.3度、路面温度42.5度。そして日本時間23時50分にフォーメーションラップがスタートし、レースが開始した。

 フィッティパルディがホールショットを奪うも後方ではレース1勝者のアレクサンダー・スモリヤー(ARTグランプリ)が体勢を乱し、前を走行していたローガン・サージェント(チャロウズ・レーシング・システム)とターン2で接触。2台はコースオフしリタイアとなり、この影響でSC(セーフティカー)が早々に導入されてしまう。

 グラベルに捕まった2台の回収は4周目に完了、上位4台はスターティンググリッドの順番そのままに、岩佐は10番手までポジションをあげ、レースは5周目からリスタート。数カ所でサイドバイサイドのバトルを展開するも大きなアクシデントなく28台は1周を消化した。

 トップを走るフィッティパルディ以下ほぼ全車が、前をいくライバルの1秒以内に収まる間隔で走行、7周目からDRSが使用可能となり接近戦が連続する。特にペースがいいのは5番手スタートだったレッドブル育成のデニス・ホーガー(プレマ・レーシング)で、11周目には4番手に浮上しファステストラップも記録する。

 首位争いに変化が起きたのはその翌周となる12周目、シューマッハーが1コーナーでフィッティパルディのインを刺しトップに躍り出る。さらに3番手のナニーニもホーガーを従え前を虎視眈々と狙っていく。

 マージンを築きたいシューマッハーだが後続とは0.5秒前後の差で周回を重ね、上位6台が一画面に収まる緊張度の高い戦いに。そして15周目、ホームストレートエンドでシューマッハーのアウト側に並んだフィッティパルディがサイドバイサイドで1コーナーを通過、スペースが乏しかったフィッティパルディは2コーナーの縁石を走行した際にマシンが跳ねシューマッハーの左サイドに接触した。

 シューマッハーはコース外に弾き出され無念のリタイアとなり、これにより2度目のSCが導入される。またフィッティパルディはダメージを負っていたかマシンが突然スローダウンしコース上にストップ。トップ2台が戦線離脱する事態となってしまった。

 この時点でトップ3はナニーニ、ホーガー、コルドウェルとなり、岩佐は9番手とポイント圏内まで上がってきた。SCは17周目の終了で解除、残り5周となる18周目からレースがリスタート。ホーガーがナニーニに仕掛けるも、ここはナニーニがポジションを守り上位勢に順位変動なく19周目に突入する。

 そして20周目に三度アクシデントが発生する。ホーガーがナニーニにホームストレートで並び、ホーガーがイン側で1コーナーに突入。旋回中にナニーニの右サイドに接触しナニーニはスピン。さらにホーガーはブレーキングするもナニーニのノーズに追突してしまい、フロントウイングを破損。またもトップ2が脱落してしまう。

 これで首位に立ったのはコルドウェル。ファイナルラップの1コーナーではコルドウェルと2番手のマルタンスが接触すれすれの攻防を見せるも順位は変わらず。コルドウェルが逃げ切り初優勝を飾った。

 マルタンスは2位フィニッシュも1コーナーでコースアウトした際に規定のラインを走行しなかった可能性があるため審議対象となっている。3位にはメルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)が入り、岩佐は7つ順位を上げて7位入賞、ファン・マヌエル・コレア(ARTグランプリ)が復活の10位入賞を果たしている。

 レース1とは打って変わって大荒れの展開となったレース2からは、上位カテゴリーへのステップアップを志す若武者たちの闘士を目の当たりにするものとなった。レース3は日本時間5月9日(日)の19時05分からスタートする。

■FIA-F3第1戦スペイン レース2 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 3 O.コルドウェル プレマ・レーシング 22Laps

2 17 V.マルタンス MPモータースポーツ 0.905

3 7 F.ベスティ ARTグランプリ 2.858

4 5 C.ノバラック トライデント 3.742

5 18 C.コレ MPモータースポーツ 3.979

6 25 J.エドガー カーリン 4.522

7 11 岩佐歩夢 ハイテックGP 5.008

8 4 J.ドゥーハン トライデント 5.511

9 10 J.クロフォード ハイテックGP 5.868

10 9 J.マヌエル-コレア ARTグランプリ 6.467

11 26 C.ウィリアムズ イェンツァー・モータースポーツ 6.757

12 2 A.ルクレール プレマ・レーシング 8.552

13 12 R.スタネ ハイテックGP 9.862

14 31 R.デ・ジェルス チャロウズ・レーシング・システム 10.328

15 27 P.ルイ・ショーヴェ イェンツァー・モータースポーツ 10.919

16 19 T.バン・デル・ヘルム MPモータースポーツ 11.482

17 22 A.コルデール カンポス・レーシング 11.979

18 24 K.フレデリック カーリン 14.113

19 16 R.ヴィラゴメス HWAレースラボ 15.168

20 15 O.ラスムッセン HWAレースラボ 15.608

21 23 I.コーエン カーリン 16.047

22 28 F.ウグラン イェンツァー・モータースポーツ 16.408

23 21 L.コロンボ カンポス・レーシング 16.901

24 20 L.トーチ カンポス・レーシング 18.305

25 1 D.ホーガー プレマ・レーシング 1’27.491

26 14 M.ナニーニ HWAレースラボ 1Lap

— 30 E.フィッティパルディ チャロウズ・レーシング・システム DNF

— 6 D.シューマッハー トライデント DNF

— 29 L.サージェント チャロウズ・レーシング・システム DNF

— 8 A.スモリヤー ARTグランプリ DNF

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