【試合速報】世界スーパーミドル級3団体統一マッチ!WBA・WBC王者サウル・“カネロ”・アルバレス vs WBO王者ビリー・ジョー・サンダースが激突!

“カネロ”(シナモンという意味。髪の色から付けられた愛称)で知られるアルバレス(58戦55勝36KO1敗2分)と、サンダース(30戦30勝14KO 無敗)のスーパーミドル級3団体統一戦。コロナ禍が沈静化の兆しを見せる米国テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで7万人もの観客を集めるリアル・ビッグイベントとして開催された。

[カネロ・アルバレス vs B・J・サンダース : スーパーミドル級3団体統一戦 をライブ 中継 | 1ヶ月お試し¥0 | DAZN JP]

ボクシング界のスーパースター カネロ対 無敗のサウスポー サンダースが激突

P4P(パウンド・フォー・パウンド。全階級のボクサーが同じ身長・体重で戦った場合誰が一番強いのか?を推測する仮定のランキング)のトップ常連のスーパースター、メキシコの英雄 サウル・“カネロ”・アルバレス。

彼を見るためだけにDAZNに契約するのもアリだ! www.dazn.com

2021年は4回リングに上がると豪語しており、2月にトルコ人挑戦者イルディリムを下して以来の今回が2戦目。

[【ボクシング速報だぞーん】WBAスーパー&WBC世界スーパーミドル級王座防衛戦 サウル・カネロ・アルバレス VS アブディ・イルディリム - dino.network | the premium web magazine for the Power People by Revolver,Inc.]

るイリディリム戦があまりに格の違う圧勝に終わったが故に、かえって評判を下げた形になっていたカネロだが、今回の相手はメジャー団体の1つWBOの現役王者サンダース。これまで30戦して無敗を誇り、この階級としては低身長のカネロ(公称173cm)に比べて180cmと恵まれた身体を持つサウスポーだ。テクニック、パワーともに一級品であり、カネロと比べても格下感はゼロ。

カネロはサウスポーを苦手にしているというデータもあり、ナチュラルボーンのスーパーミドル級、アウトボクサー型サウスポーのサンダースはかなりの難敵なのではないか、という見方もある。

そんなわけで、試合前の下馬評ではカネロ有利なのだが、サンダースの番狂わせを予想する評論家も少なくないのである。

年齢的には、メキシコ出身のカネロが 1990年7月18日生まれ(試合当日 30歳)に対して、英国出身のサンダースは1989年8月30日生まれ(同じく試合当日 31歳)とほとんど変わりない。体格的には前述したようにサンダースの方が身長が高い分有利かと思われるが、カネロはこのコラムでも何度も触れているように、かっちりとした雄大な肉体を持っておりスーパーミドルにあってもそのパワーは健在だ。体力的には遜色ないだろう。

スーパーウェルターから、ミドル、スーパーミドル、ライトヘビーとクラスを上げ、今はスーパーミドルを主戦場と据えたカネロ・アルバレスだが、階級を変えながらも、スピードを犠牲にすることなく順当にパワーアップしてきた。そのおかげでカネロは闘い方を変えることもなく、常に真っ向勝負を挑み続け、強敵を正面突破してこれたのである。

カネロを苦しめるであろう戦略としては、カネロを上回る体幹とパワーで迎え撃つか(第1戦目のゴロフキンのような闘い方)、スピードとテクニックで翻弄するか(カネロの唯一の敗戦である、メイウェザーJr.のような闘い方)のどちらかだと思うが、動きの速いサウスポーであるサンダースとしては、後者を選択することになるだろうと思われる。つまり、カネロ対サンダースは、トルクフルなパワー対サウスポーならではの距離を活かしたスピードとなり、基本的には判定勝負を想定した試合になるだろうと推測されたのである。

大観衆を入れての試合の行方は?

この試合は、コロナ禍の沈静化に強い自信を持った米国テキサス州の、アーリントン AT&Tスタジアムで、公称観客数 73,126人を集めて開催された。
(大観衆の多くはマスクをつけず、完全に日常が戻った、という印象を与えるものだった)

サンダースはあまり脚を使わず、スタンスを広くとって右前手(繰り返すが彼はサウスポーなので、右手が前)を伸ばしてカネロを牽制する。

カネロはたしかにサンダースの長い前手を鬱陶しそうに払いはするものの、基本的にはいつもと変わらずガードを固めながらも突進し、顔を狙うには早いワンツー、ただし2発目の右はフック気味の強打するが、基本的にはサウスポー対策なのだろう、左のボディアッパーを繰り出して、サンダースの右脇腹を叩く。

ラウンドが進んでもカネロの戦い方は変わらない。ほとんどが力を込めたパワーパンチで無駄打ちはほとんどしない。プレッシャーをかけながら接近すると、少し距離があればサンダースの腹を叩き、近寄ればワンツーからの強打。超近距離になればショートアッパーで顎を突き上げようとする。

第7ラウンド終了後に試合が動いた・・・

試合はサンダースのジャブに対するカネロの左ボディフックが目立つ形で進行した。
1-2ラウンドこそ、ジャブに終始していたサンダースだったが、それだけではカネロのプレッシャーをかわせないと悟ったのだろう、積極的に手を出すようになり、そのいくつかはカネロの顔面を捉えることに成功する。
さらに、中盤には往年の名選手ロイ・ジョーンズJr.を彷彿させるようなノーガードを見せるようになる。

サンダースに余裕が出てきた、と見た者も多かったかもしれない。だが、僕は、カネロのボディフックが効いてきた証拠、と思った。サンダースは腕を下げることで腹への直撃を妨げたいと思ったのだろう、もしくは両腕を上げてガードする体力がなくなってきたのかもしれない。

これはKOもあり得る・・・と思った矢先、カネロが観客を煽るような仕草をしだした。第8ラウンドだ。

倒すぞ!というサインととった観客はどっと湧いた。実際、サンダースはまったく手が出なくなり、防戦一方になり、カネロは決死の逆襲を警戒しながらもサンダースを攻め立てる。

サンダースはなんとかこのラウンドを逃げ切ったが、全ての気力・体力を使い切ったのだろう、次のラウンドに向けて立ちあがろうとはしなかった。

彼自身がギブアップを表明したのか、セコンドが判断したのか、とにかく完全に戦意を失ったサンダースは試合を放棄。ここでカネロのTKO勝ちが決定した。

カネロ強し。
作戦勝ち、とか、戦略がうまくいった、というようなことではなく、完全に力でねじ伏せた、そういう試合だった。

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

© 株式会社リボルバー