山口真由氏 池江璃花子への〝辞退要請〟に「私たちの社会が、すごく間違った方向に行っているんじゃないかな」

山口真由氏

変異株が主流となった新型コロナの感染拡大が止まらない。緊急事態宣言下の東京では、週末の土日でも新規感染者数は1000人の大台を超えた。そんななか先週末にトンデモナイ騒動が起こり、大きな話題になっている。白血病を見事に克服、東京五輪の競泳代表に〝奇跡の復活〟を遂げた池江璃花子に、SNSで五輪辞退を求める投稿が飛び出したのだ。

この投稿者にはネット上で、当然のごとく批判の嵐が吹いたが、池江は「オリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく当然のことだと思っています」と冷静に答え「持病を持っている私も今、目の前にある重症化リスクに日々不安な生活も送っています」と心中を明かし「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」と結んでいる。

難病と闘いながらも想像を絶する努力を重ね、国民に希望を与えた池江に対する、まさにお門違いな〝攻撃〟に、10日放送のテレビ朝日系ワイドショー「モーニングショー」に出演した弁護士の山口真由氏は涙を浮かべて猛反論した。

「本当に心から胸が痛い。私たちの社会が、すごく間違った方向に行っているんじゃないかな。不安っていうのは対象がないから、勝手に自分が決めた対象を攻撃してしまう。そこに〝オリンピックはやらせないのが正義だ〟っていう思いが乗っかり、攻撃がエスカレートしてしまう。頑張って病から立ち直って希望を持ち始めた1人のアスリートが、精神的な打撃を受けるのは胸が痛いとしか言いようがない」と山口氏は声を振るわせた。

新型コロナは多くの人の命を奪うだけでなく、心まで蝕んでいる。

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