韓国のR&D投資が最近5年間で鈍化...政府の「大企業いじめ」が原因か?

韓国で民間研究開発(R&D)投資が最近5年間で鈍化したことが分かった。大企業のR&Dの不振などが原因だ。

韓国経済研究院(韓経研)が6日、民間企業のR&D投資の2000〜2019年の年平均増加率を5年単位で比較した結果、民間企業のR&D投資は、最近5年(2015〜2019年)に平均7.5%の増加を記録したことが分かった。これは直前の5年(2010〜2014年)の12.2%に比べて有意に低い数値である。 2000年代初め(2000〜2004年)に、民間企業のR&D投資は年平均14.9%の増加率を見せていた。

韓経研は最近、民間R&D投資の増加傾向が鈍化した原因として、大企業のR&D投資不振を指摘した。 2019年基準の民間企業のR&D投資額のうち、大企業の割合は76.7%と大部分を占めている。しかし、最近5年間で大企業のR&Dの増加率は、直前の5年間の年平均増加率14.1%の半分水準となる7.3%にまで鈍化した。韓経研は、大企業が民間のR&Dに占める割合が大きいほど、企業のR&D投資に基づいて民間全体のR&Dの騰落が左右されると説明した。韓経研によると、実際2000年以降、民間企業のR&Dの増加率と大企業のR&Dの増加率の相関係数は0.999に達するという。つまり強い相関関係があるということだ。

韓経研は主要国に比べて、大企業のR&D投資への支援が不足していることが、民間のR&Dが鈍化するもう一つの原因であるとみている。

経済協力開発機構(OECD)の統計によると、韓国内の大企業が昨年、税額控除や減免など、R&D投資に際して政府から受け取った総支援額はR&D投資額の2%に過ぎなかった。

一方、米国・日本・英国・フランス・ドイツなどG5国家の大企業は、R&D投資額の平均19%に達する投資支援を受けたことが分かった。中小企業に関しては、韓国の投資支援の割合は26%でG5平均の23%を上回った。

韓経研は、G5のうちm米国とドイツ、フランスは大企業と中小企業を均等にサポートしており、英国と日本は企業規模別に差分をサポートしているが、韓国より格差が小さいという。大企業と中小企業間のR&D、政府支援率格差は韓国が24%ポイントと最も大きかった。英国と日本はそれぞれ15%ポイント、3%ポイントだった。 R&D支援政策の基調もG5国は、すべての企業に支援を拡大したが、韓国は大企業の利益を縮小した。

主要先進国と韓国は、R&D投資支援政策の方向でも違いを見せた。韓国の場合、中小企業のR&D投資額控除率(当期の投資分あたり)である25%は、2011年から現在まで維持されている。しかし、大企業の場合、2013年までに3〜6%であった税額控除率が2014年に3〜4%、2015年に2〜3%、2018年に0〜2%にまで縮小した。

一方、G5国はR&D投資税額控除率を上昇させ、控除限度額を拡大するなど、企業規模にかかわらず、R&D投資のインセンティブを強化した。

チュ・グァンホ韓経研経済政策室長は、「R&Dは、企業の技術競争力を強化し、生産性を向上させ、経済成長を促進する重要な要素である」とし、「政府の積極的なR&D投資支援企業の競争力向上を誘導する必要がある」と強調しした。

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