〈じょうえつレポート〉新たな視点で魅力再発見 上越市「なおえつうみまちアート」本格始動 海や港関わりテーマ 作家8組 4会場に現代アート 住民参加や会場周遊

 上越市直江津地区に現代アート作品を展示し、交流や地域活性化を目指す「なおえつ うみまちアート」が7月31日から9月26日まで開かれる。4月30日に第1回実行委員会が開かれ、直江津活性化に向けたイベントが本格的に動き出した。(梅田邦彦記者)

 同イベントは上越市と「無印良品 直江津」を運営する良品計画(東京)、頸城自動車(同市)が締結した「地域活性化に向けた包括連携に関する協定」に基づき計画された。現代アートの作家8組が作品を制作。直江津の船見公園周辺、直江津屋台会館、ライオン像のある館(旧直江津銀行)、安国寺通りの空き店舗の4カ所で展示する。

 当初は交流人口拡大のため近隣の十日町市、津南町で開かれるアートイベント「大地の芸術祭」と緩い連携を行う予定だったが、コロナ禍で大地の芸術祭が延期となり、地域活性化に重点を置いた。海や港との関わりで発展してきた直江津を、「現代アート」という新たな視点で魅力の再発見を促す。そのため作品展示だけでなく、ワークショップなど住民参加型のイベントにも力を入れる。また、地域で活動する団体などに声を掛け、積極的な関与を期待している。

 市企画政策部の池田浩部長は「コロナ禍で広域からの観光誘客は難しいが、地元の人に自信を持ってもらい、面白い街と感じてもらえれば」と話した。一方で、コロナ禍拡大の状況次第では見直しもあるとした。

 出展する作家は8組。良品計画の河村玲ソーシャルグッド事業部部長は「直江津の歴史や自然、文化的営みを地域の人と再認識するというプロジェクトの趣旨に沿って作品制作ができる人たち」と説明した。制作に当たって地域の雰囲気をつかむため、直江津を訪れる計画もある。さらに、訪れた人が4会場を周遊することが大切になるため、巡回バスやレンタサイクルなどの移動手段を検討し、各会場を巡りたくなるような仕掛けづくりも考えるという。

 予算は7000万円で、市の交付金が6800万円、その半分が国からの交付金となる。200万円は市内の企業、個人からの協賛金となる。実行委員会は商店街や町内会、美術、教育、観光関係など10人で構成。委員からは「地域の人が多く参加してもらうことが大事」「子どもたちが一流アーティストの作品に触れることが大切」「(会場整備などは)なるべく地元の業者を使ってほしい」などの意見が出された。

 継続した取り組みになるかについて、池田部長は「初めての取り組みで、まずは成功させることが第一の目的。初めから(次回を)やりますではなく、評価、検証して目的を果たせたか、結果を共有できれば次につながるのではないか」と説明した。河村部長は「(無印良品直江津を)出店して県内全域から来店してもらっている。訪れた人に、どうやって(直江津を)周遊してもらうかが、次のステップになる」と話した。

第1回実行委員会終了後、山田知治実行委員長(左から3人目)らが報道機関の質問に答えた(4月30日、上越市の直江津学びの交流館)

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