引き分けは過去最多のペースに… “延長戦なし”特別ルールの恩恵を受ける球団は?

楽天・石井一久監督(左)とヤクルト・高津臣吾監督【写真:荒川祐史】

昨季、延長戦の多かったヤクルトと広島は、救援防御率でワースト1、2位

ゴールデンウィークが明け、ここから中盤戦へと突入していくプロ野球。セ・リーグは阪神が首位を快走し、パ・リーグは楽天が首位ながら最下位の日本ハムまで4.5ゲーム差の大混戦の展開となっている。

今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大による要請を受け、延長戦を行わず9回打ち切る特別ルールで行われている。そのため、引き分けに終わった試合数はここまで54試合。過去最多だった2012年の74試合を大幅に更新する勢いで異例のシーズンと言えるだろう。

では“延長戦なし”はリーグ戦にどのような影響をもたらしているのだろうか。当然、延長戦の試合数が増えれば増えるほど、救援陣への負担も増えていくと考えられる。そこで、ここでは各球団の昨季の延長戦の試合数と救援防御率を見ていきたい。

○昨季の延長戦数と救援防御率

ヤクルト 17試合 4.33
広島 16試合 4.64
楽天 11試合 4.04
オリックス 11試合 4.07
阪神 10試合 3.39
中日 10試合 4.33
巨人 9試合 3.60
日本ハム 9試合 3.93
ソフトバンク 8試合 2.60
ロッテ 8試合 3.30
DeNA 6試合 3.54
西武 5試合 3.48

昨季、延長戦の試合数が特に多かったヤクルトと広島の救援防御率が12球団のワースト1、2位。一方で延長戦が1桁だった6球団はすべて防御率3点台と、延長戦が少ないチームほど救援防御率が安定している結果になっている。

引き分け最多の楽天がリリーフ陣好調、ヤクルトと広島も救援防御率が改善

では、続いて今季の引き分け試合数を見ていく。

○今季の引き分け試合数

7試合 楽天、オリックス
5試合 巨人、ヤクルト、ソフトバンク、西武
4試合 中日、DeNA、ロッテ、日本ハム
3試合 広島
1試合 阪神

今季の特別ルールによってブルペンの運用が変わるため単純比較はできないが、引き分けの多い楽天、オリックスは従来のシーズンなら多くの延長戦を戦っていることになり、影響を大きく受けていると考えられる。一方で引き分けが1試合だけの阪神はあまり影響がないとも言えるだろう。次に今季の救援防御率は以下の通り。

○今季の救援防御率

中日 2.15
ソフトバンク 2.45
楽天 2.55
広島 3.06
DeNA 3.67
ヤクルト 3.71
ロッテ 3.81
阪神 3.82
巨人 3.91
西武 4.18
オリックス 4.66
日本ハム 4.92

2点台は中日、ソフトバンク、楽天の3球団。特に楽天は従来なら7試合の延長戦を戦うはずだったことから、今季のルールをうまく活用して好調をキープしているとも考えられる。昨季の4.04から大幅に改善していることからも、首位に立っていることに頷ける結果だ。

また、昨季の延長試合数がトップ1、2位、救援防御率がワースト1、2位だった広島とヤクルトも見ていきたい。広島はドラ1ルーキー・栗林の活躍などもあって12球団で4位の3.06、ヤクルトも同6位の3.71と、昨季と比べて非常に安定していることがわかる。

5月25日からは2年ぶりの交流戦も始まるが、楽天、広島、ヤクルトのリリーフ陣は好調を維持できるのだろうか。決着がつかないことにガッカリしているファンも多いだろうが、“延長戦なし”の特別ルールに注目してペナントレースを楽しんでみてはいかがだろうか。(Full-Count編集部)

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