余った食材でクラフトジン 壱岐の焼酎製造業者と旅館が開発

ボタニカルの割合を調整する関係者=壱岐市芦辺町、壱岐の蔵酒造

 廃棄される食材を有効活用しようと、長崎県壱岐市芦辺町の焼酎製造業「壱岐の蔵酒造」(石橋福太郎社長)と同市勝本町の温泉旅館「壱岐リトリート海里村上」(大田誠一総支配人)が、クラフトジンの製造を進めている。
 構想開始は昨年4月。コロナ禍で観光客が激減し、大量の食材が廃棄されるフードロス問題の深刻化を目の当たりにした旅館側が、同問題の解決と「壱岐の良さを遠方の方に届けたい」という思いの両方を実現するため、同酒造に協力を依頼した。
 ▽壱岐産ボタニカル(植物)の使用▽和食に合わせるためのクラフトジン-の二つにこだわり、開発を進めた。当初20種類以上の候補があったボタニカルを厳選し、先月のテイスティング会でアスパラガス、モリンガ、ユズ、イチゴなどの農産物のほか、ウニの殻や温泉成分など11種類に絞り込み味の調整をした。
 開発に携わる同旅館のソムリエ、大場裕二さん(40)は「甘い香りの中にスパイシーさもある。ソーダ割りはてんぷら、ロックは煮付けなどの温かい料理に合う。理想通りのジンに仕上がった」と太鼓判を押した。
 今月末頃の商品化を目指す。同旅館での提供に加え同酒造、インターネット、百貨店で販売する予定。

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