「妖怪ケンムン」再び出現か 奄美、沖縄が世界自然遺産登録へ

ケンムンの足跡が見つかったことを報じた本紙紙面(2010年3月)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が10日、亜熱帯の森に貴重な動植物が生息する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するよう勧告したことは、「妖怪ケンムン」にとって朗報になるかもしれない。

7月に開かれるユネスコの世界遺産委員会で登録が正式決定される見込み。登録となれば、自然遺産では2011年の小笠原諸島(東京)以来のこととなる。

鹿児島県ホームページによると、奄美大島には絶滅危惧種のアマミノクロウサギなど希少な生物が生息しているという。そうした独特な生態系が評価された。

世界自然遺産となることで、観光地として注目されるようになり、たくさんの人が訪れることが予想される。その一方で、自然を保護しようという意識も高まる。そのことで思わぬところにも影響が出るかもしれない。

それは妖怪ケンムンだ。地元に伝わる話によると、カッパに近い姿でガジュマルという木をすみかにしている妖怪で、人と相撲を取ることが好きだという。江戸時代の文献に名前が見られるほど歴史は古い。

しかし、近年は姿を消していたという。本紙は10年にケンムンの足跡が奄美大島で発見されたと報じていた。その時点でなんと足跡が見つかったのは約20年ぶりだったというから驚く。

一体、どうしてケンムンは姿を見せなくなったのか。地元住民は「ケンムンは絶滅危惧種」とした上で「最近は島の開発があり、あまり姿を現さなくなっていた」と語っていた。

奄美大島が世界自然遺産となることで、開発が抑制されることになれば、再びケンムンが姿を現すようになるかもしれない。

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