【ヴィクトリアM】レシステンシア折り合い疑惑を裁く 1200メートル”解禁”後の距離延長は…?

おちゃめな表情を見せるレシステンシア。スター性も十分だ

第16回ヴィクトリアマイル(16日=東京芝1600メートル)でグランアレグリアに取って代わる新女王襲名を狙うレシステンシアの最大の課題は折り合い。短距離路線にシフトした後だけに、疑惑の目を向けられるのは避けられないが…。イチケイの…いや、一競馬記者の西谷哲生は大胆にも“職権発動”を宣言。入念な捜査の果てに見えてきた真実とは!?

レシステンシアの高松宮記念でのレースぶりを見て「あれ?」って思った。彼女の定位置といえばハナ、もしくは好位2、3番手。もともとマイルでもスプリンター並みのスピードを見せ、前々の競馬で結果を出してきた。ところが、前走は道中6、7番手を追走。あの位置取りが初めての1200メートルの影響だけとは思えなかった。

「仮に前走で無理にでも前に行っていたら、1600メートルに戻した時にビュンと行くことになったかもしれない。1200メートルを使った後の折り合いを考えれば、あそこで出して行かなかったことがいいほうに出るんじゃないかな」

そう話してくれたのはレシステンシアの調教パートナーを務める河北助手。1400メートル(阪急杯1着)→1200メートル(高松宮記念2着)と距離を縮めながらのステップで、1600メートルを走るのは今年初となる。ゆえに心配なのは「折り合い」と考えていた記者に返ってきたのは予想以上にポジティブな答えだった。

「一般論としてひっかかる馬であれば、短い距離を使った後での1600メートルへの参戦は折り合いが難しくなる。でも、俺が騎手時代に乗っていたサッカーボーイの弟(パーフェクトゲーム)は、何戦も1200メートルを使った後に2500メートルに連闘して2着にきた。そんな例もあるくらいなんだから一概に不安視する必要はないんだよ」

もちろん、問題なのはレシステンシアの場合がどうかってことだ。ダイワメジャー産駒の牝馬といえば、気性の難しいタイプが多いイメージもあるだけに…。
「いやいや、この馬は短距離馬にしてはひっかからない。だから毎週金曜にはウッドで1周半乗っている。もしイレ込むような馬だったら、こんな調整はできないよ」

そんなレシステンシアでも調教での折り合いに苦労した時期があった。それが骨折明けだった昨秋のマイルCS当時だ。「俺が調教に乗るようになったのもこの時からなんだけど、“こんなにひっかかるんですか?”って担当の厩務員さんに聞いたのを覚えているよ。そうしたら“いつもはこうじゃない”と。あの時は馬がピリピリして、普段と雰囲気が違っていたんだ」

当時はグランアレグリアに0秒8差(8着)と水をあけられたが、レシステンシア自身が一頓挫明けで万全の態勢ではなかったと割り切ってしまえば…。まだ勝負付けは終わっていない。

「マイルCSを使ってからは馬にすごく落ち着きが出てきた。(武)豊さんもマイル(桜花賞2着)で乗っているから、どう乗るかというイメージはもう頭の中にできているんじゃないかな」

1200メートルを“解禁”した後の距離延長でも折り合いに不安なし――。東京の芝マイルGⅠで現役最多タイの7勝を誇る名手と、芝で2度のレコードを叩き出している快速娘。その強力タッグの視線の先には、春の古馬マイル女王の座がしっかりと見えているに違いない。

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