世帯年収420万の41歳専業主婦「あと9年で老後資金を1000万増やしたい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、41歳、専業主婦の女性。子どもたちの教育費は積み立てているものの、老後資金に関してはノータッチできてしまったという相談者。夫の定年までにあと1,000万円は貯めたいといいますが、どのような貯蓄計画を立てるべきでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。

貯金が630万円、ふたりの子どもに学資保険を200万円と140万円積み立てています。しかし老後資金に関しては全くの手付かずで、夫は50万円の貯金しかありません。この先どんなふうに生活のビジョンを持つべきなのか、どんなふうに貯めていけばよいのか見当がつきません。

せめて私が50歳になるまでに収入を増やすか、貯蓄に回す金額を増やすかしたいです。夫の定年までに最低あと1,000万は貯めておきたいのですが、あと9年余りで出来ることを教えてください。

【相談者プロフィール】

・女性、41歳、専業主婦

・同居家族について:

会社員の夫(50歳)、勤続13年ほど。子ども2人(8歳、12歳)

・住居の形態:持ち家(マンション・集合住宅/千葉県)

・毎月の世帯の手取り金額:35万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:なし

・毎月の世帯の支出の目安:28万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:5万5,000円(ローン。管理費込み)

・食費:5万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:2万2,000円

・保険料:3万円

・通信費:1万円

・車両費:5万円

・お小遣い:2万円

・その他:6,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:7万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0円

・現在の貯蓄総額:1,060万円

・現在の投資総額:0円

・現在の負債総額:700万円(住宅ローン残債)

・退職金は他の方の前例として600万程。年金についてはノータッチで分かりません。


飯田:今回は、老後資金をどのように貯めていけば良いのかという相談です。現状では、貯金が630万円あるものの、ご主人の貯金は50万円のみ。この先の生活において、どのようにビジョンを描くのか、どのような貯め方をすれば良いのか、お悩み中です。目標としているのは、ご主人が定年するまでに、現状プラス1,000万円とのこと。あと9年で、どのようなことができるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

家計管理は、しっかりされていますよ!

支出内訳を拝見しました。特に無駄遣いをしている様子もありませんし、子ども2人を育てて、住宅ローンの支払いをしながらも、毎月7万円預貯金に回せているのは立派です。しっかり者の相談者様ですので、使途不明金はないとは思いますが、万一、そのようなお金がある場合には、チェックするようにしてください。

相談者様の場合、家計を見直しても預貯金に回すお金が出てくるのか分からないくらい、しっかりと管理されています。それならば、収入を増やすことを考えてみてはいかがでしょうか。相談者様も働いて収入を得ていくことをお勧めします。

働いて収入を得るにはどうする?

下の子どもが8歳と言うこともあり、もしかしたら、あえて仕事をしていないのかもしれませんが、年齢的に、だんだん手が離れてくる頃ではありませんか? 相談者様は、まだ41歳です。契約社員として働くこともできますし、パートタイマーとしても働くことができますよね。

外に出て働くことが難しいのなら、自宅でできる仕事を考えてみましょう。今はコロナ禍ということもあり、事務職等でも在宅勤務で募集しているところもあります。探してみてください。もちろん、外へ出て働けるのなら、その分、可能性は広がりますよね。

とはいえ、求人の数はお住いの地域によっても異なります。住まいは千葉県ですので、地域によっては都内に通勤できると思いますし、郊外エリアでも千葉の中心地までなら働きに出ることはできるのではないでしょうか。

求人情報は、主婦向けのものから探すと良いでしょう。基本的にパートタイマーやアルバイトのお仕事が中心ですし、主婦の生活に則した福利厚生を提供している企業からの募集が多いのが特徴です。

毎月5万円稼ぐことができれば年間で60万円、9年で540万円です。もし、毎月8万円稼ぐことができれば、年間で96万円、9年で864万円貯まることになります。運用して利益を得るよりも、確実に貯めることができますし、目標額に近づいていきますよね。

年金資金の運用はiDeCoがお勧め

貯めたお金は普通預金や定期預金に預けていても良いのですが、せっかくなら、収入の一部を、より年金を貯めるために適した方法で運用していくことを検討しても良いでしょう。

年金資金の運用を考えるなら、日本の年金制度のなかのひとつである「iDeCo(個人型確定拠出年金)」がお勧めです。すでに専業主婦の場合、第三号被保険者として国民年金に加入していると思いますが、iDeCoは任意で加入する年金です。毎月決まった額を拠出して、低リスクで運用していくことができます。

ただし、運用は自己責任です。貰える年金額は運用次第で変動しますので、その時にならなければいくら貰えるのかは分かりません。また、途中で引き出すことができません。あくまでも用途は年金のみ。無理のない範囲で拠出額を決めることが大切です。第三号被保険者の専業主婦の場合の毎月の掛金は、月額2.3万円までです。

まずは、はじめる前にiDeCoの公式サイト
で確認しておくと安心です!

教育費支援制度をチェックしましょう

これからの支出として気になるのが、2人の子どもの教育費ではないでしょうか?

公立高校に加えて、私立高校においても無償化がスタートしました。対象となるのは、公立・私立ともに年収910万円未満の世帯であり、公立では授業料の一部として11.88万円が支援されます。公立の学校の場合は支援額で賄えますので、実質無償化となっています。

私立高校の場合も11.88万円が授業料の一部として支援されていますが、所得によって支援額は違います。私立の場合、実質的に無償化となるのは、年収590万円未満の世帯です。利用するには、学校へ所定の書類を提出します。

大学などの高等教育の支援制度も拡充しています。世帯年収で対象になるかが変わってきますが、どのような支援が受けられるのかを把握し、受給漏れがないようにしましょう。結果的に、支出が抑えられますよ。

どのような生活を送りたいのかも考えてみよう

貯めることも大切ですが、どのような生活を送るのかを考えておくと、モチベーション維持に役立ちます。折に触れてどのようなライフスタイルが良いのか、夫婦で少しずつ話し合っていくと良いでしょう。目標が無ければ迷いが生じます。頑張ってくださいね!

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