【東京五輪】開催是非を巡るアスリートの見解に“温度差〟”…競技特性の違いが起因か

テニス選手は特別? 大坂なおみ(左)と錦織圭

世論の逆風が吹き荒れる東京五輪・パラリンピック。その開催是非について、テニス界の日本男女エースは揃って慎重な見解を示している。

英BBC放送は公式サイトで大坂なおみ(23=日清食品)のインタビュー動画を掲載。その中で大坂は東京大会の開催について「もちろん出場したい」と言いつつも「しかし、人間として、私たちはパンデミックに陥っていると思います。人々が健康でなく、安全でないと感じているなら、それは大きな懸念の原因です」と話した。前日には錦織圭(31=日清食品)も「死人が出てまでも行われることではない」と懐疑的な意見を述べている。

開催是非を巡り、アスリートの中で〝温度差〟も見えて来た。4年に1回の五輪に全てを懸けるアマチュア選手、マイナー競技の選手は「何としても開催を」と熱望する傾向。逆に海外ツアーが主戦場のテニス、ゴルフのトップ選手は「グランドスラム」などの大目標が他にあるためか、やや慎重な意見が目立つ。サッカー、野球、バスケットボールなどの「プロ選手」も立場が違うだろう。

2008年北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストで総合格闘家の石井慧(34)がツイッターで「五輪の為命を削り名誉と金の為に命をかけてる選手は世界に沢山いる」と指摘したように、金メダルを取って人生が変わるケースもある。昨年秋、体操の五輪2連覇・内村航平(32=ジョイカル)が「〝できない〟ではなく、〝どうやったらできるか?〟を考え、どうにかできるように考えを変えてほしい」と訴えたのが、いい例だろう。

もちろん、すべての選手は「安心安全な大会」が第一と考えている。だが、開幕まで残り3か月を切った今、競技特性や立場によって五輪への〝熱量〟の違いが少しずつ浮き彫りになっているのも事実だ。

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