阪神・梅野「もちろん出たい」東京五輪 侍ジャパン選考までに “差をつけたい相手”

好調の虎投手陣を支える阪神・梅野

代表入りへラストスパートだ。11日の中日戦(甲子園)に4―4と引き分けた阪神で正捕手・梅野隆太郎捕手(29)が、今季の目標に掲げている今夏の「東京五輪」出場へ〝勝負の時〟を迎えている。24人で構成される「侍ジャパン」野球五輪日本代表は早ければ、今月下旬にもメンバー選考が行われ、各選手ともに今月は最後のアピール時。捕手枠ではともに有力候補の虎の正妻と中日・木下拓也(29)はライバルとなる存在で侍首脳陣も〝見極め〟にむけ大いに注目しているという。

通算2000試合目となった竜虎決戦は、痛み分けとなり、阪神にとっては今季2度目のドロー決着。首位と今季最多の貯金14の試合前の現状はキープしただけに、矢野燿大監督(52)も「全体的にはウチの野球がしっかりできたところもあったので、精一杯やってくれたかなと思っています」とサバサバと試合を振り返るにとどめた。

チームの動向には大きな動きはなかった一方で、今カードで是が非でもさらに存在感を見せておきたいのが、チームの正捕手・梅野だ。兼ねてから「もちろん出たいなと思う。(代表に)入って活躍したい気持ちは常に持ち続けている」と今夏の東京五輪代表選出・出場にむけ、今3連戦は球界内での「捕手・梅野」の価値をさらに高めるチャンスでもあるからだ。

今季の梅野は35試合で先発マスクを被り、リーグ2位のチーム防御率2・94の投手陣をけん引。さらに今季はバットでもリーグ1位の5割超えの得点圏打率と勝負強さも発揮し、首位を走るチームの屋台骨を中心で担う存在になった。侍ジャパン関係者も「投手のワンバウンドや暴投を止めるブロッキング技術は球界でも間違いなくナンバーワン」と高く評価している。

そんな中、侍首脳陣には今季はセ・リーグでもう一人、気になる存在が浮上している。それが中日の正捕手・木下拓だ。現状、捕手で代表入りが確実視されるのは甲斐拓也(28=ソフトバンク)のみ。2019年のプレミア12メンバーの広島・会沢翼(33)やパ・リーグでは西武・森友哉(25)もおり、24人と少数精鋭となるメンバー構成上、捕手は最大でも選出は3人で実質、残り2枠で狭き門。阪神の正妻・梅野と中日・木下拓の比較となる可能性もあり、代表入りにむけライバル関係にもあるのだ。

侍関係者は竜の正妻を「肩も強く、バッティングでは長打も期待できる」とリーグ1位の4割超えの盗塁阻止率と、打者としても攻撃力を期待できる捕手として評価。実際、11日の一戦でも阪神のエース・西勇から左翼席へ一発を見舞うなど、梅野自身もマスク越しにそれを目の当たりにした。

中でも木下拓は対阪神戦では、7試合で5本の長打、8打点とクリーンアップ並みに暴れている。投手陣を束ねる正捕手としても、この現状を黙って見過ごすわけにはいかないだろう。

日本代表が優勝を飾った2019年のプレミア12では、阪神からは選出はゼロ。矢野監督も以前から「何とか一人でも多く代表に選ばれてほしいし、みんなが選ばれるような選手になることを目指してほしい」と語ったように、代表メンバーを送り込むことはチームとしての〝悲願〟でもある。

6月上旬予定の代表決定までに、竜虎の直接対決は今3連戦が最後。竜の正妻をしのぐインパクトある躍動を梅野が披露できれば、日の丸入りもそれだけ近づくことになりそうだ。

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