日本列島ゆるゆる古墳ハント(22)東京都狛江市「狛江古墳群」都内の住宅地で古墳散歩

「旅チャンネル」の企画で世界一周を2回経験した、古墳を愛するイラストレーター・マンガ家の水谷さるころが、これまで訪れた日本各地の古墳の魅力を紹介します。今回は、東京都狛江市「狛江古墳群」です。

※コロナ渦なので実際はマスクをしていますが、マンガでは人物のマスクは省略しています。

東京の住宅街の中にある古墳群です。多摩川の近くにあり、かつては70基ほどがあったと言われていますが、現在は13基ほどが残っています。開発が進み、墳丘が削られ、消滅する古墳も多くあります。住宅街のため、個人の敷地にあることが多く、立ち入ることができる古墳はわずかです。

そんな狛江古墳群ですが、最近狛江市が古墳の保存や整備を進めていて、公園になっている古墳もあります。古墳をめぐるウォークラリーが実施されていて、今年、2021年の3月24日から古墳カードの配布が始まっています(古墳カードがなくなり次第終了ということです)。古墳カードがある古墳は「猪方小川塚古墳」「土屋塚古墳」「経塚古墳」「亀塚古墳」「甲塚古墳」の5つ。こちらの古墳に行って写真を撮って、「市役所3階社会教育課窓口」または「むいから民家園」にて提示すると、古墳カードがもらえるそうです。※「むいから民家園」は緊急事態宣言中は閉館しています。

狛江の古墳群は、一つ一つはあまり離れておらず6歳の子どもの足でも歩くことができました。現存する古墳全てを回る!と意気込まずに、主に古墳カードがもらえる古墳に絞れば、休憩しつつ半日でめぐることができました。狛江は公園も多く、天気のよい日であれば子ども連れでもかなり気軽に古墳散歩が楽しめます。

我が家は小田急線「和泉多摩川駅」からスタートしました。まずは古墳カードがもらえる古墳の一つ猪方小川塚古墳へ。

猪方小川塚古墳公園

猪方小川塚古墳は去年(2020年)に公園整備されたばかりの古墳公園になっています。公園の中央にガラスで覆われた石室があります。宅地開発に伴い発見されましたが、残されたのは石室を含む家一軒分という感じで街の中の「古墳のおうち」というイメージです。

猪方小川塚古墳の石室

発見された当時、すでに墳丘の大部分は削られてしまっていましたが、狛江古墳群の中で、横穴式石室墳であることが始めて具体的に確認された古墳です。発掘調査によって本来の墳丘は15〜20mほどで、7世紀に築造されたと想定されています。東京都指定史跡に指定されています。

前原塚古墳

続いて前原塚古墳。こちらは畑の中に残されている古墳で、敷地内に入ることはできません。全長23.5m、高さ2.4mの円墳です。築造時期は6世紀前半と推定されています。

猪方稲荷塚古墳

猪方稲荷塚古墳は、かつては円墳だったようですが、今は稲荷神社のお社があるのみで墳丘はもちろん埋葬施設も残っていません。狛江を歩いていると、こういったお社や祠だけがある場所がいくつかあり、「これはひょっとして消失した古墳の名残なのでは・・・」という場所をいくつも見ました。

清水塚1号古墳は個人のお宅の中にあるので、外側から「あの辺かな」と見ることしかできません。こちらも墳頂に稲荷社が祀られており、赤い鳥居がちらりと見ることができます。こちらは、現在は径19.9m、高さ2.5mの墳丘が残っている円墳です。

土屋塚古墳

土屋塚古墳は古墳カードがもらえる古墳のうちの一つです。墳丘は残っていますがマンションの敷地内にあり、立ち入ることはできません。直径33m、高さ4.5mで、築造時期は5世紀中葉です。東側に造出部がある円墳です。こちらにもかつては墳頂部にお社があったようですが、今はなくなっているようです。

古墳だと意識しないと古墳だとわからないようなものも多く、狛江在住の友人も「え!ここ、古墳だったの」と思うところもたくさんでした。住宅地で古墳を探す古墳ハントも楽しいです。

次回、後半に続きます!

※清水塚1号古墳は個人宅のため写真はありません。

狛江古墳群

住所:東京都狛江市

[All Photos by Mizutani salucoro]

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