「現在のワクチン接種で変異株に対しても9割に中和抗体」日本人接種者のデータ初公表

 新型コロナウイルスワクチンの接種が国内でも徐々に進みつつあるが、横浜市⽴⼤学らの研究グループが、日本人接種者においてもワクチン接種後、非常に高い確率で十分な抗体が生成され、変異株に対する効果も期待できることを初めて発表した。

日本人接種者100人あまりのデータ発表、変異株に対しても高い効果

 研究データを発表したのは横浜市⽴⼤学 学術院医学群 臨床統計学 ⼭中 ⽵春 教授、同微⽣物学 梁 明秀 教授、 宮川 敬 准教授、附属病院 感染制御部 加藤 英明 部⻑らの研究チーム。今回の研究では、⽇本⼈のワクチン接種者 111 名(未感染 105 名、既感染 6 名)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査した。研究チームが開発した独自の迅速抗測定システムで、 従来株 および変異株 7種の計 8 株に対する中和抗体を網羅的に測定したという。

 結果、未感染者でワクチンを2回接種した⼈のうち、99%の⼈が従来株に対して中和抗体を保有し、流⾏中の N501Y 変異を有する 3 つのウイルス株(英国、南アフリカ、 ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90〜94%の⼈が中和抗体を有していたことが分かった。 また懸念されているインド由来の株に対しても、中和抗体陽性率が低下するような傾向は ⾒られなかった。

 総合すると、計 8 株すべてに中和抗体陽性であった⼈は全体の約 9 割(93/105; 89%)だったが、 中和抗体の上がり⽅については個⼈差が⾒られ、特に 1 回接種のみでは、変異株に 対して中和抗体が産⽣されない⼈が⼀定数存在したという。

 研究グループでは、この結果は接種をされる⽅々にとっての重要な基礎データとなるだろうとしている。なお研究成果は、査読前の論文を発表するプレプリントサーバー「medRxiv」※に5月11日付で投稿、公開されている。

※今後、学術雑誌での審査により論⽂内容が修正される可能性があります。

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