鷹の大器・スチュワート “一軍お試し期間”長期化で上がった「異論」

キャッチボールで調整したスチュワート

順調な成長曲線を描くソフトバンクのカーター・スチュワート投手(21)の「今」を巡って異論が出ている。右腕は先月16日に一軍初昇格。昨季は二軍で先発ローテに定着し、3年目のシーズン序盤の昇格は「金のタマゴ」に一軍を経験させてステップを踏ませる“お試し昇格”の意味合いが大きい。

ここまでの起用は4試合すべて救援登板。粗削りながら潜在能力の高さは誰もが認めるところで、ゴールデンウイーク期間中の先発ローテ再編の際は、工藤監督が「僕も見てみたい」と先発起用の可能性に自ら言及するほどだった。

一軍帯同はかれこれ1か月になる。久々の出場機会となった11日の登板は先月27日以来、中13日と出番は限られていた。全米ドラフト1巡目指名を受けながら入団せず、ホークスに6年契約で加入したスチュワートの育成は球団の一大プロジェクト。完成形は本人が「沢村賞」を目標に掲げるように、NPBを代表する先発完投型投手だ。

一軍で過ごす時間が貴重である一方、打者との対戦機会が限られる現状は「完成形」へのステップを遅らせるのではないか――。登板間隔が空く中、そんな声が上がっていたのは事実だ。「中継ぎで早くプロ初勝利を飾ることを目指している投手ではない。いかに早く先発として1勝目を挙げるか、という投手。一軍で何が通用して、何が足りないかを把握できたのなら、二軍に戻って足りないものを磨く時間に早く充てるべきではないか」(チーム関係者)。前年まで一軍経験済みの投手なら我慢強く一軍で起用して場数を踏ませるのも一つのパターン。だが、スチュワートはその前段階の選手だからこその声だった。

この1か月、中継ぎ待機の右腕がこの後再び二軍で先発として回るには調整期間が必要になる。一軍お試し期間が延びることで次のステップへの始動がずれ込むだけに、一考の余地があるとの受け止めは少なくない。

日本ハム時代の大谷(現エンゼルス)やロッテ・佐々木朗らと同様、NPBの枠に収まらない大器ゆえに、その育成過程に大きな注目が集まる。

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