普段は10分以上、報道陣の質問に応える工藤監督が…
■ソフトバンク 8ー8 ロッテ(12日・PayPayドーム)
ソフトバンクは12日、本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦に8-8で引き分けた。先制しながら逆転を許し、再逆転するも追いつかれるというシーソーゲームの末に、痛恨の引き分けに終わった。
見たことがないほど落胆した工藤公康監督の姿がそこにはあった。試合後、報道陣の前に現れた指揮官の視線は宙を彷徨った。10秒ほどの沈黙のあと、「野手はよくひっくり返したところまでは良かったんですけど、ね。はい」と語り出したが、そこから、なかなか言葉が続かない。普段は負けた試合でも10分以上、報道陣の取材に応じるが、この日はわずか3分ほどで自ら切り上げた。就任して7年。初めてとも言えるほど、ショックの色が濃い姿だった。
「今日勝てなかったのは僕の責任です。すいません。今日は勝たなきゃいけない試合だったので…」
2回に上林の犠飛で先制すると、3回には主砲・柳田に9試合ぶりの本塁打となる特大の7号2ランが飛び出した。3点を先行し、優位に試合を進めていたが、5回に突如、暗転した。4回までパーフェクト投球だった先発の和田が捕まった。ロッテ打線に打者一巡の猛攻を浴びて7安打で大量6失点。試合をひっくり返された。
2点リードを迎えた9回にモイネロが追いつかれる
ただ、この日は打線が奮起した。7回、周東の四球を足掛かりに、栗原の犠飛、柳田の適時二塁打、中村晃の適時打で同点に追いつくと、甲斐が2ランを放って勝ち越しに成功。試合を再びひっくり返した。
あとは岩嵜、モイネロの勝利の方程式で逃げ切るだけ。だが、悪夢が9回に待っていた。マウンドに上がったモイネロは先頭のレアードを平凡な三ゴロに打ち取った。これを8回から松田に代わって三塁に入っていた牧原大が悪送球。先頭打者を出塁させると、左腕は続く岡に四球を与えた。藤岡の犠打で1死二、三塁とされると、代打エチェバリアの左前適時打、荻野の中犠飛で同点に。失策から頼みの左腕が崩れていった。
指揮官は「(ポイントは)5回じゃないです。今日は僕のミスです。すいません」と悔やんだ。その“ミス”については口にすることはなかったが、その表情からもこの試合にかけた思い、そして勝利を掴めなかったことへの強い後悔の念が透けて見えていた。
ただ、落ち込んでばかりもいられない。14日からは敵地・札幌ドームでの日本ハム戦が控えている。波に乗れないソフトバンク。ここから工藤監督はどうチームを立て直していくだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)