一体どこから? アライグマ「西海橋渡った可能性も」 早期対応が特効薬 北海道大大学院 池田透教授

池田透教授

 西海市で初めて捕獲された外来種のアライグマ。一体どこから来たのか。「交通量が少ない時間帯に、西海橋を渡ることは十分に考えられる」。アライグマに詳しい北海道大大学院の池田透教授(保全生態学)はこう指摘する。
 池田教授によると、アライグマは夜行性。高い場所や水も怖がらず、北米では20数階のビルに登った例もあるという。人為的に放された可能性は低く、捕獲数が多い県北地域から西海市へと生息域を拡大した可能性が高いとみられる。
 1年のうちに雌の9割が妊娠するとされ、繁殖力は旺盛。1回で4匹程度の子を産むという。野生のアライグマはダニなどを媒介している恐れもあり、海外では回虫症や狂犬病など感染症の宿主とされる。
 雑食性で野鳥やウミガメなどの卵を狙い、生態系への影響も。「人目につくようになったときには、ある程度広まっていると疑うべきだ。早期対応が被害を出さないための特効薬」と警鐘を鳴らす。
 尻尾のしま模様が特徴。足跡でも判別しやすく、タヌキやネコのような肉球状ではなく、人の手のような5本指の足跡(5センチ前後)だったら「ほぼアライグマだと思っていい」。
 池田教授は「飼育できなくなって、かわいそうだからと放したり、逃げ出したりして野生化する構図はイヌもネコも同じ。ペットと人との関係性をいま一度考えてほしい」と話す。


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