セネガル・ダカール港ODA案件 「ジャイロプレス工法®」による岸壁改修を完工

オンリーワンのソリューションで課題解決。ODA関係者が注目

2021年5月13日

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)のグループ企業・株式会社技研施工(本社:同、代表取締役社長:西川昭寛)が、セネガル共和国・ダカール港において、日本のODA 案件で受注した鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法®」※による岸壁改修工事(圧入工事部分)を完了しました。工事中も荷役や船舶の接岸を妨げない優位性などが評価を受け、採用されていました。

本件は、オンリーワンの本邦技術である当グループの圧入技術が開発途上国の建設課題を解決した好例として ODA 関係者らの注目を集め、メディアや各種セミナーで広く紹介されています。最近では昨年 11 月の「公共調達シンポジウム」(公益社団法人土木学会主催)で関係者が事例紹介。今年 3月には「JICA 課題発信セミナー」(JICA 主催)に当社が招かれ、建設コンサルタントやゼネコン、商社、NGO、自治体等の ODA 関係者に対して発表しました。

本工事の成功により、国内外でニーズの高い港湾整備はもちろん、さまざまな案件に対して質の高いインフラを提供する当グループの工法、施工技術を世界にアピールできると考えています。

※ 鋼管杭の先端に切削爪を付けて回転切削圧入することで硬質地盤やコンクリートなどの地中障害物を貫通し、粘り強いインプラント構造物を造る工法です。鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー®」で施工します。

■ ダカール港

アフリカ大陸最西端に位置するセネガル。首都ダカールの主要港であるダカール港は内陸国の玄関口になっており、隣国のマリ向け貨物取扱量は 2022 年に 2015 年の 1.7 倍に増えると予想されています。しかし、それを扱う第三埠頭は老朽化が進んでおり、岸壁が崩落する危険性が指摘されていたほか、随所に生じた陥没や沈下が安全な荷役や機械導入の障害となっていました。このため同国の要請に基づき、日本の ODA である無償資金協力事業として第三埠頭の改修が進められています。

■工事概要

2台同時施工で直径 1000mmの鋼管杭 299 本を圧入し、延長 350mの岸壁の改修工事を完了しました。杭間からの土砂の流出を防ぐため、鋼管杭の間に直径 318.5mm の小口径鋼管 299 本を圧入して隙間を埋めました。

■ジャイロプレス工法®の採用経緯

当初は他工法で計画も安全性に課題

当初はコンクリート製のブロックを海中に積み上げて岸壁を構築する計画でした。しかし、岸壁位置を海側へ 20m前出しする必要があり、対岸埠頭との間を狭めることで船舶の運航環境を悪化させる懸念がありました。また、施工には大型の作業台船が必要になるため、工事中の接岸や荷役作業の安全に影響を及ぼすという課題がありました。

ジャイロプレス工法®で課題解決

一方、鋼管杭による岸壁は前出し幅を最小の 6mに抑えられます。また、鋼管杭の施工方法の中でもジャイロプレス工法 ® であれば、圧入機本体が既設杭上を自走して施工できるため作業台船を必要とせず、船舶の接岸や荷役を妨げません。加えて、鋼管杭の先端に切削爪を取り付けて回転切削圧入することで、事前掘削作業なしで岩盤に直接貫入が可能です。仮設を必要としないスピーディーな施工により、ブロック式や他工法と比べても工期を短くできます。上記のようなさまざまな優位性を背景に本邦の質の高いインフラ技術として提案し、採用されました。

■今後の期待

港湾施設は世界中で老朽化が進んでいるうえ、船舶の大型化への対応が課題となっており、各地で継続的に改修が計画されています。今回の施工実績は、世界の港湾案件において圧入技術の採用を実現させるうえで大きなアピール材料になります。

当グループは今後もオンリーワンの技術を生かした質の高いインフラ整備を通じ、先進国だけでなく開発途上地域でも経済基盤の構築や安心安全なまちづくりに貢献していきます。

■事業概要

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラーⓇ」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は世界の建設課題を解決しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。