今こそ読みたい「家族の時間」をテーマにした一冊『教科書名短篇』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『教科書名短篇—家族の時間』

中学校の国語の教科書から「家族の時間」をテーマに、文学作品を紹介した短篇集です。幸田文、芥川龍之介、井上ひさし、五木寛之、向田邦子らの作品16篇を収録しています。味わい深い一冊をおうち読書にいかがでしょう。

教科書名短篇—家族の時間
編集:中央公論新社
出版社:中央公論新社

家族と過ごす時間を大切に思う今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。

本書は、中学校の国語の教科書に掲載された小説や随筆から、家族をめぐる作品を精選。毎日を懸命に生きる人々の家族の時間が描かれています。幸田文の二篇に綴られるているのは、父・幸田露伴の思い出です。父は「掃いたり拭いたりのしかた」をはじめ、娘に何もかも教えてくれた。「おしろいのつけかたも豆腐の切り方も障子の張りかたも借金の挨拶も恋の出入も、みんな父が世話をやいてくれた」——。娘を案じる父の心と深い愛情が伝わってきます。

家族のかたちはさまざまで、おじいさんとおばあさんの生活を描いた作品もあります。梅崎春生の「輪唱」は、数年来、お互い口を利き合わずに暮らす夫婦の話ですが、ひっそりとした日常に時おり流れる濃密な気配が心に残ります。

幸田文の作品「あとみよそわか」「うずまき」をはじめ、芥川龍之介の「トロッコ」、向田邦子の「字のない葉書」「ごはん」、庄野潤三の「ひばりの子」、三浦哲郎の「おふくろの筆法」など、いくつもの名作と出会える一冊をどうぞ。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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