トヨタ 新型ヤリスクロス、ガソリンとハイブリッドの価格差は37万円! その差を埋めるには14万キロ以上走らなければならなかった

2020年度の新車販売台数ランキングで1位となった「トヨタ ヤリス」シリーズ。2020年8月末追加のコンパクトSUV「ヤリスクロス」人気が販売台数を大きく押し上げた。燃費の良いハイブリッド車に加え、価格の安い1.5リッターガソリン車が用意され、販売比率はおよそ6:4の割合いでハイブリッドが多いという。価格差は同グレード間でおよそ37万円。その価格差を燃費で埋めるには、14万キロ以上を走行しないとならないという。しかし燃費以外にも、積極的にハイブリッドを選びたい3つの理由がある! ヤリスクロスハイブリッドならではの「静粛性」「楽しい走り」「リセールバリュー」について解説しよう。

トヨタ ヤリスクロス[2020年8月31日発売]

ハイブリッドとガソリンモデルの2タイプあるヤリスクロス、価格差は37万5000円

トヨタの人気コンパクトSUV「ヤリスクロス」は、直列3気筒 1.5リッターガソリンエンジンに加え、同エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2つから選ぶことが出来て、それぞれFF(前輪駆動)タイプと4WD(四輪駆動)タイプが用意されている。ヤリスクロスのガソリン車とハイブリッド車の価格差は、37万4000円である。

写真は「ヤリス」のハイブリッドシステム

ハイブリッドはなんといっても燃費性能が素晴らしい。

ヤリスクロス ハイブリッド(FF)のカタログ燃費は27.8km/L~30.8km/L、これに対しヤリスクロス ガソリンモデル(FF)は18.8km/L~20.2km/Lと、リッターあたり9~10kmも差が生じる[燃費数値はすべてWLTCモード燃費]。

それでは、ヤリスクロス ハイブリッドとガソリンの価格差37万4000円は、どれくらい乗れば相殺されるのだろうか。

ヤリスクロス、ガソリン車とハイブリッド車の価格差は何キロ走れば埋まるのか!? 答えは14.5万キロ!

今回は、ヤリスクロスの上位グレード「Z」同士で、ガソリン車とハイブリッド車の違いを比較してみた。

詳しくは表を参照してほしいが、結論からお伝えすると『ガソリン車とハイブリッド車の価格差は14.5万キロ走れば取り戻せる』。

※上記は計算上の数値であり、実際の走行や価格差を担保するものではありません。

昨今、新車の平均乗り換えサイクルはおよそ7年~8年と言われている。クルマを通勤などで使用しない場合、年間の走行距離は多くて1万キロで、都市部などでは5000キロ程度が平均的な使い方とされているから、差額が取り戻せる14万キロまで乗ることなく、次のクルマに乗り換えてしまうユーザーがほとんどだろう。

ハイブリッドの利点は燃費だけにあらず! 高級感を増した走りやリセールバリューの高さも強み

ガソリンモデルも決してうるさいタイプのクルマではないが、ハイブリッドと乗り比べると差はある

【ハイブリッドを選ぶ理由その1】「いいクルマ買ったなあ」と実感出来る静粛性の高さ

ハイブリッドとは、エンジンに加え、バッテリーとモーターで走行出来る仕組みだ。特にエンジンの負荷が大きい発進や加速の際にエンジンの出力をモーターで補うことで、負荷を軽減し燃費を向上させる。

トヨタのハイブリッドシステムは、初代プリウス以来20年以上に渡るハイブリッドシステムの豊富なノウハウを持ち、特に燃費の悪化する街乗りや渋滞時などの効率が優れている。

エンジンを止めて完全にモーターだけで走行するモードもあり、その静けさは高級車のような感覚を得られる。これだけでも、ハイブリッドを選んで正解だったと感じるはずだ。ただし、ガソリンエンジン版も決してうるさいクルマではない。気になる方は一度販売店での試乗をおすすめする。

【ハイブリッドを選ぶ理由その2】「元気によく走る!」走行性能の高さも魅力

低速からスッとスムーズに走る感覚はハイブリッド車特有の気持ちよさがある

モーターとエンジンの良いとこ取りをするハイブリッドシステムは、単に燃費を稼ぐだけでなく、高性能でもある。通常のガソリンエンジンは最高出力120ps/最大トルク145Nmの性能。これに対しハイブリッドは、91ps/120Nm、モーター出力80ps/141Nmのシステムとなる(FF)。

ハイブリッドシステムはエンジンとモーターそれぞれ効率の良い領域を使うため、最高出力も単純な2つの足し算とはならないが、乗り比べてみると、発進時の力強さや、追い越し加速の性能はハイブリッドが勝る。重たいバッテリーを積み、重量は50kgほど重くなるが、むしろそのことで乗り心地にもちょっと重厚感が増し、ちょっとした高級感もある。これもまた、軽快な走りのガソリン版とは明確に違うところだ。

【ハイブリッドを選ぶ理由その3】「中古車人気はハイブリッド優位!」リセールバリューの高さにも期待したい

発売からまだ1年弱のため、正確なデータはまだないが、他のコンパクトカーの事例を考えると、ガソリン版とハイブリッド版の2つがあるモデルでは、5年後の下取り価格に差が出ることが多い。ましてや、昨今はカーボンフリー時代に向け、クルマの電動化も求められている時代。5年後となれば、ますますその傾向は強くなっているのは間違いないだろう。

将来に向けた投資という意味合いもあるが、何より環境負荷の少ないハイブリッドカーを選ぶのがイマドキの格好良さというものだ。

ともあれ、新型ヤリスクロスの購入を検討しているなら、ぜひ販売店での試乗をおすすめしたい。しかも、事前にガソリン車とハイブリッド車を乗り比べたい、とリクエストを出すことをおすすめする。新車ディーラーでも1店舗で常にハイブリッドとガソリンの両車があるとも限らないのだ。だから事前に予約しておくほうが間違いない。他店などから試乗車を融通し2台を用意してくれることもあるから相談してみよう。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル]

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