車両規制実験中3割が予約なしで通行 希少生物見られる奄美の人気スポット 環境省「周知足りなかったかも」 世界遺産登録後はツアー客急増か

奄美市の市道・三太郎線の入り口に設置された規制内容を周知する看板=奄美市住用

 環境省は13日、奄美市住用の市道・三太郎線一帯で4月29日~5月9日に実施した車両規制の実証実験で、予約なしで通行した車が3割に上ったと明らかにした。7月以降、車両規制を試行する方針で、「利用が多い時期はスタッフが赴き、規制の呼び掛けも考えたい」としている。

 一帯は夜間に希少野生生物が観察できる人気スポット。世界自然遺産登録後のツアー客急増を見据え、車両を減らすことで、森の適正利用と生態系保全の両立を目指している。

 1時間の通行車両を、日時を事前予約した4台に制限し、ルールが守られるかカメラで確認した。計153台のうち、51台が予約なしだった。大型連休中の4月30日~5月3日は1時間4台の上限を超え、5~7台の通行が計7回あった。環境省の山根篤大・国立公園保護管理企画官は「予約が必要との周知が足りなかったのかもしれない」と話した。

 三太郎線は延長約12キロの旧国道。1989年にバイパス道の三太郎トンネル開通後は地元住民の往来が減る一方、頻繁に出没するアマミノクロウサギ目当ての利用が増え、希少生物の交通事故が問題になっている。

2020年11月の車両規制実証実で取り組みの趣旨を説明する環境省の職員ら

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