北朝鮮「密告奨励」看板にうかがう「金正恩訪中」の可能性

韓国デイリーNKは12日までに、北朝鮮の内部情報筋から、同国内に設置されている「通報(密告)」を奨励する看板の写真を入手した。

看板で通報が奨励されている情報は、次のような内容だ。

通報する内容

(1)道の管内で提起される重要行事について知ろうとする者
(2)反国家、反民族犯罪を敢行したり、敢行するよう宣伝扇動する者
(3)重要な鉄道と道路周辺で怪しい行動をする者
(4)銃器類、銃弾、火薬類、爆発物、凶器を持っていたり売買したりする行為
(5)違法に外国人に会ったり、手紙、現金、物品などをやり取りしたりする行為
(6)敵紙物(敵国の印刷物)、ビラを持っていたり、それを持って宣伝したりする行為
(7)秘密に属する物品を持っていたり、党、国家、軍事機密を漏洩する行為
(8)軍事重要対象物、国の権威を毀損させうることを宣伝する行為

情報筋は、「当局は北朝鮮国内のコロナに関する状況や内部の活動指針などが敵に知られてはならないと考えると同時に、隠したい事実が国外に流出し、北朝鮮に再流入することで、国内の空気を乱すと見ているようだ」と、この看板設置の背景を説明した。

徹底した秘密主義国家の北朝鮮だが、内部資料の管理実態は杜撰極まりなく、次から次へと国内外に流出している。金正恩総書記は何年も前から「内部情報の流出、外部情報の流出の徹底遮断」を訴えているが、一向に根絶される気配はない。

一方、こうした看板が設置された背景については、金正恩氏が近く列車で中国を訪問する可能性を考慮すべきとの指摘もある。中国との国境に近い平安北道(ピョンアンブクト)の龍川(リョンチョン)駅で2004年4月に発生した大規模な爆発事故を巡っては、金正日総書記の暗殺未遂だったとする説が根強く囁かれており、看板設置はそうした事態の再発を未然に防ぐ取り組みの一環だとする見方だ。

これについて別の情報筋は、「最高指導者(金正恩氏)の動線は極秘にされるという原則を守りつつ訪中が行われるだろう」としつつも「コロナによる経済難による世論の悪化で予想外のことが起こりうると見て、徹底的に準備しているのかもしれない」と述べた。

龍川を含めた平安北道では、幹部への大々的な粛清が行われており、首脳部に対する反感が高まっていると伝えられている。

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