【キャンプでの風対策】注意すべきは雨よりも風!事前のチェックポイントや頑丈ペグ等を紹介

自然との触れ合いが魅力のキャンプですが、天候状態によっては思わぬトラブルに直面することも。雨や風といった悪天候への備えを万全にしておくと、よりキャンプを満喫することができます。特に見逃しがちなのが「風対策」。今回は強風でキャンプを途中で撤退した筆者の経験を交えて、キャンプでの風対策をご紹介します。

【筆者体験】キャンプでは雨だけでなく風にも注意! 特に子連れキャンプではケガなどの危険が

まず初めに、筆者が子連れキャンプで遭遇した、強風吹き荒れるキャンプ場での危険な出来事をお伝えします。

ある週末、筆者は久しぶりのキャンプに出かけました。

当日は全国的に悪天候が予想されていたものの、筆者が住む地域は「小雨のち曇り」の予報だったのでキャンプには問題ないと考え、決行することに。

キャンプ場に到着するころには心配していた雨もやみ、チェックインしていざ設営!という時に、キャンプ場に強風が吹き荒れ始めました。

まずタープの設営に着手していたのですが、仮止めして立ててあったポールが倒れ、筆者の頭と6歳の子供の腰に当たってしまいました。

筆者撮影「タープの黒いポールが風にあおられ直撃」

風の勢いもあってかなりの痛みがあり、筆者の頭はタンコブになりました。子供も「痛い~!」と叫んで車の中に逃げ込みました。

その後タープはあきらめ、4歳と6歳の子供には車内で待機してもらって、夫と2人で2ルームテントの設営に取り掛かりました。

しかし設営途中にさらに風が強まり、ポールを支えるだけで精いっぱいという状況に陥りました。

筆者撮影「この銀色のポールを支えるだけで精いっぱいの状況に」

そんななか子供が車のドアを開けてしまい、「危ないから車のドアを閉めて!」と叫びましたが、子供の力ではドアが閉められません。

強風で突然車のドアが閉まったら、子供の手などが挟まれてしまうかもしれないと恐怖を感じました。

幸い近くのキャンパーの方の手助けもあり、最悪の事態は免れましたが、これ以上設営を続けるのは危険と判断しました。

チェックインからまだ1時間しか経過していませんでしたが、撤収し帰宅することにしたのです。

【キャンプの前に】「風予報」をチェック! 風速の定義や「平均風速」と「瞬間風速」の違いも覚えておこう

筆者撮影

筆者はキャンプに行く前に、雨の予報が気になって、こまめに天気予報をウェブサイトで確認していました。

「雨が降るならカッパや大きなビニール袋を持って行かないと」など雨対策で頭がいっぱいで、同じウェブサイト上に表示されていた「風予報」はまったく目に入っていませんでした。

本当に注意すべきだったのは「風予報」のほうだったことに、キャンプ場に来て初めて気付いたのです。

風予報に表示されている「風速」は、日常生活ではなじみが薄いこともあり、「風速5m/s」などと聞いてもピンとこないという人も多いのではないでしょうか。

そこでまず「風速」について、基本的な情報を見てみましょう。

風速の定義

気象庁では「風の強さと吹き方」を、以下のように4段階で定義しています。

やや強い風(平均風速(m/s)10~15)
風に向かって歩きにくくなる。傘がさせない。樹木全体が揺れ始める。
強い風(平均風速(m/s)15~20)
風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。看板やトタン板が外れ始める。
非常に強い風(平均風速(m/s)20~30)
何かにつかまっていないと立っていられない。細い木の枝が折れたり、根の張っていない木が倒れ始める。
猛烈な風(平均風速(m/s)30~40)
多くの樹木が倒れる。住家で倒壊するものがある。
(出典:気象庁「風の強さと吹き方」)

少なくとも平均風速が10m/s以上になると、安全にキャンプをするのは難しいことが分かりますね。

平均風速と瞬間風速

風速については、平均風速だけでなく瞬間風速も重要です。

平均風速は「10分間の平均」であるのに対し、瞬間風速は「3秒間の平均」です。

瞬間風速は、平均風速の1.5倍程度となることが多いものの、大気の状態が不安定な時などは3倍以上になることも。

また風速は地形や周りの建物などに影響されるため、その場所での風速は予報や観測値と大きく異なる場合があります。

平均風速だけを見て「大丈夫そう」と安心するのは危険です。

瞬間風速がそれを大きく上回る可能性があることや、地形や周辺の環境も考慮して、万全の対策をしておく必要があるでしょう。

風に関する注意報・警報

さらに風に関する「注意報」や「警報」も覚えておき、適切な対応を取れるようにしましょう。

  • 強風注意報:強風によって災害が起きるおそれがあるとき
  • 暴風警報:暴風によって重大な災害が発生するおそれがあるとき
  • 暴風特別警報:さらに重大な災害が起きるおそれが著しく大きいとき(最大級の警戒が必要)

【キャンプ中の風対策】林間サイトは風の影響を受けにくい! 海の近くやタープ・焚き火はなるべく避けて

事前の予報などでキャンプが困難と判断できれば、「キャンプに行かない」という選択が最も安全です。

一方で、予報では問題がなかったものの、現地では少し風が強めな場合などは、風対策を工夫して、快適にキャンプを楽しめるといいですよね。

ここではキャンプでの風対策をご紹介します。

風の影響を受けにくいサイトを選ぶ

筆者撮影

キャンプでの風対策は、キャンプ場選び、サイト選びの時点から始まっています。

キャンプでの風リスクをより軽減するためには、風の影響を受けにくいキャンプ場やサイトを選ぶと良いでしょう。

海や高台などのキャンプ場は、眺めは良いのですが風の影響を受けやすい傾向があります。

おすすめは林間サイト

風害から守るために防風林が作られるように、木々が風を遮ってくれるため、風の影響を受けにくくなります。

タープは設営しない(または低くする)

タープは風の影響を受けやすく、特にオープンタープは風に飛ばされやすく危険です。

風が強い時は、できるだけタープの設営は避け、設営する場合でもなるべく低く設営するようにしましょう。

焚き火に注意

筆者撮影

風が強い時は、焚き火の火の粉が舞い散って危険です。

無理に焚き火をしないように注意しましょう。

火を起こさなくても安全に料理ができるように、コンロやバーナーを用意しておくといいでしょう。

【風対策アイテム】鍛造ペグとガイロープでテントをしっかり固定! おすすめペグ「エリステ」も紹介

風対策のためには、万全な装備が欠かせません。

ここでは風対策として、用意しておきたいアイテムをご紹介します。

鍛造(たんぞう)ペグ

キャンプの風対策として欠かせないのが、頑丈なペグ。

テントやタープを購入すると、プラスチック製などの簡易なペグが付属していることもあります。

筆者撮影「プラスチックペグ」

簡易的なペグだとしっかりと地面に刺さらず、強風で抜けてしまうこともあります。

高温で熱せられた鉄棒を叩いて成型する「鍛造(たんぞう)ペグ」なら、非常に強度が高く、地面にしっかりと刺さってテントを固定してくれます。

特に人気なのが、スノーピークの「ソリッドステーク」(通称ソリステ)と、村の鍛冶屋の「エリッゼステーク(通称エリステ)」です。

筆者はエリッゼステークを愛用しています。

筆者撮影

実際に使ってみて良かった点として、まずペグの色が青や赤、黄色などカラーバリエーションが豊富で、砂利や草むらなどの地面でも見つけやすく紛失しにくいこと。

次にペグの形が楕円形のため、地中でクルクル回らずにしっかり固定され、抜くときには他のペグを穴に入れて90度回すことで簡単に抜くことができます

ガイロープ

ガイロープ(ガイドロープ)は、テントやタープをしっかり固定するための、ヒモ状のキャンプギアです。

頑丈なガイロープをしっかりと張っておくことで、風によるテントやタープの崩壊のリスクを軽減してくれます。

ただしテントの周りにロープがたくさんあると、夜にトイレに行くためにテントを出る時や、小さな子供などが走り回った時に、ロープにつまずいて転んでしまう恐れがあります。

ガイロープは、自然界にはないような、蛍光色などの目立つ色がおすすめです。

さらに反射材が入っているタイプなら、少しの光で反射し、夜間の視認性が高まります。

風対策を万全にして安心安全なキャンプを楽しもう! 最後は撤退する勇気も大切

筆者撮影

キャンプにおいては、風の影響によるケガや事故の可能性があり、強風は大きな危険をもたらすリスクがあります。

風が強くなったら、決して無理をせず、最終的には撤退する勇気も大切でしょう。

キャンプでは雨が気になりがちですが、風対策も万全にして、安心安全なキャンプを楽しんでくださいね。

▼風に強い形や素材のタープを使うのもおすすめです!

▼強風対策に欠かせないペグの打ち方や「おすすめペグハンマー」はこちらの記事を参考にどうぞ!

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