前田敦子「”愛”の底力って計り知れない」 仲野太賀、池松壮亮からも 「茜色に焼かれる」鑑賞コメント

石井裕也監督、尾野真千子主演の映画「茜色に焼かれる」が、5月21日より劇場公開される。このたび、本作をひと足先に鑑賞した著名人によるコメントが公開された。

女優の前田敦子は、「本当に全てが素晴らしすぎて、魂が震える感覚を知れた気がします。『愛』の底力って計り知れない」と思いを寄せている。俳優の仲野太賀は「母ちゃんから受け取った誇りは、きっとあの少年を勇敢にする。親子の帰り道、純真な愛の告白に涙が溢れました」と、感動を言葉にしている。また俳優の池松壮亮は、「身一つで請け負う女性のその圧倒的な姿は、夕焼けよりも美しい」と、尾野真千子演じた主人公の姿への感動を語っている。

「茜色に焼かれる」は、弱者ほど生きにくい時代に翻弄される一組の母子を描いた作品。哀しみと怒りを心に秘めながらも、わが子へのあふれる愛を抱えて気丈に振る舞う母と、その母を気遣って日々の屈辱を耐え過ごす中学生の息子。2人のもがきながらも懸命に生きようとする姿が描かれる。監督・脚本・編集を務めるのは、「舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」などの石井裕也監督。前向きに歩もうとする母親・田中良子を尾野真千子が演じ、息子・純平を「ミックス。」などの和田庵が演じている。そのほかに、片山友希、オダギリ ジョー、永瀬正敏が出演している。

【コメント】 ※順不同、敬称略

■仲野太賀(俳優)
誰しもが歯を食いしばり、生きてる。
誰かを傷つけない為に、演じてる。
母ちゃんから受け取った誇りは、きっとあの少年を勇敢にする。
親子の帰り道、純真な愛の告白に涙が溢れました。

■池松壮亮(俳優)
人類の終末感に相応しい美しい夕焼けと、生き延びてきた自己の物語。
どんなに世界に傷つけられても田中良子は生きている。
その魂の咆哮に、涙が止まらなかった。
身一つで請け負う女性のその圧倒的な姿は、夕焼けよりも美しい。

■前田敦子(女優)
石井監督やっぱりすごいです。尾野さん、はじめとするみなさんの熱演、
本当に全てが素晴らしすぎて、魂が震える感覚を知れた気がします。
「愛」の底力って計り知れない。

■古舘寛治(俳優)
このクソのような世の中で
真面目に誠実に日本の映画を撮ろうとしたらこうなった。
そんな映画だ。

■松尾貴史(タレント)
今の社会にこびりつく理不尽な決まり事に踏みつけられる母と子の、
ひたすらにしなやかでひたむきな姿に、ただ心を締めつけられる。
我が事として、今見るべき物語。

■角田光代(作家)
静かな笑みという鎧でなんとか自身を保っていた
ひとりの母親が、鎧を脱ぎ捨て、丸腰で闘う姿に、
唖然とし、落涙し、そして強く励まされた。

■加藤千恵(歌人・小説家)
激しい作品だ。
良子の苦しみが、純平の切実さが、ケイの絶望が、
そしてどうしたって溢れでてしまうあらゆる愛が、願いが、
見ているわたしたちに一つずつ突き刺さる。

■はあちゅう(ブロガー・作家)
どこかで大きなどんでん返しや、救いがあってほしいと願いながら見続けた。
私たちは「努力すれば報われる」とか「神様はきっと見ている」と
心のどこかで信じているけれど、本当にそうだろうか?
誰にも救ってもらえない人生は、どう生きるのが正解だろうか。そんなことを考えた。

■室井佑月(作家)
人は哀しい。どうしてこんなに哀しいんだろう。
映画を観て、あたしは泣いた。
映画に、自分やまわりの人々を投影したからだ。
それでも、人でありたいと願う多くの仲間に、
この映画を勧める。観て良かった。

■齋藤薫(美容ジャーナリスト/エッセイスト)
完全なる不幸の中に散りばめられた、
一瞬の幸せの一つ一つに心が震える。
しかもその単純ではないコントラスト表現の見事さと、
尾野真千子の喜怒哀楽の素晴らしさにも目を見張った。

■伊藤詩織(映像ジャーナリスト)
「なんで怒らないの」何度もどこかで聞いた言葉だ。
人に起きたことなら怒れるのに、なんでだろう。
自分の怒りと素直に向き合えた時、人は解放されるのかもしれない。

■鮫島浩(ジャーナリスト)
公営団地に暮らす母子家庭、母の失恋そして包丁の追憶。
息子の境遇が我が身に重なり、感情移入してしまった。
格差が格差を生む理不尽な社会に差し込む茜色の未来が美しい。

■上野千鶴子(社会学者)
日本のシングルマザーが経験するありとあらゆる苦難がこれでもかと。
それをコロナ禍がさらに直撃した。
でも、誇りは捨てない。この怒りは誰に届くだろうか?

■湯浅誠(社会活動家・東京大学特任教授)
追いつめられ、壊れかけつつも、踏みとどまっているーー
その際(エッジ)を生き抜くすべての人々が
等身大の〈自分〉を見出せる映画だ。

■三浦瑠麗(国際政治学者/山猫総合研究所代表)
不条理を一身に浴びながら、それでも生きていく主人公が眩しい。
溜めすぎた怒りを、悲しみを、叫びを受け止めながら、終いに癒しに導かれる。
すごい映画でした。

■水谷修(夜回り先生)
「生きる」とは、幸せを求めることと考えている人たちにこそ、見て欲しい。
墜ちても落ちても抗い生きる。つらい苦しみの中にこそ在る生きる意味。
こころに刺さります。

■武田砂鉄(ライター)
息苦しい社会なのに、息の苦しさは隠蔽される。
この作品は、その隠蔽を剥がして剥がして剥がして明らかにする。
荒々しい息が聞こえてくる。たじろぐ。情けないほどにたじろく。

【作品情報】
茜色に焼かれる
2021年5月21日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
配給:フィルムランド
©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ

© 合同会社シングルライン