コロナ労災申請増加 医療従事者が8割 長崎労働局「積極的に相談を」

 仕事中に新型コロナウイルスに感染したことによる労災補償の申請、認定件数が長崎県内でも徐々に増えている。長崎労働局によると、今月11日までの申請件数は84件で、認定されたのは45件。うち医師や看護師、介護士など医療従事者の申請が67件と8割を占め、認定は9割超の41件だった。
 医療従事者以外の申請は17件、認定は3件。労働局はその内訳を個人の特定につながる恐れがあるとして公表していないが、医療事務職も含まれており、医療機関で働く人の感染リスクの高さがうかがえる。
 労災認定を受けると、治療費や休業補償などが給付される。最近は感染経路の特定が困難なケースが増え、認定まで時間がかかっているという。
 労働局によると、県内の新型コロナ感染を受けた労災申請は、昨年は全国で唯一ゼロだった。労働局はクラスターの発生した医療機関や事業所に申請を働き掛け、各労働基準監督署でも周知を強化。その結果、2月末の28件から今月11日までに3倍に増えた。それでも、全国で計1万件を超えている状況と比べると件数は低水準だ。
 寄せられる相談の中には「会社が業務での感染だと認めてくれない」という声もあり、申請をためらう人がいるとみている。申請は会社の証明がなくても可能。労働局は「感染原因が業務にかかわると思い当たることがあれば、積極的に最寄りの労基署に相談してほしい」と呼び掛けている。
 労災申請とは別に、労働者が業務中のけがや病気で死亡または休業した場合に事業者に報告を義務付けている「労働者死傷病報告」によると、昨年1月以降、県内で仕事中に新型コロナに感染して休業した人の数は122人。昨年は47人だったが、今年は今月11日までで75人に上っている。

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