<金口木舌>ボーダーレスな旅の時代

 インターネットで世界中の衛星写真を閲覧できるグーグルアースを時々、眺めている。主要都市であれば繁華街から路地裏まで、あらゆる場所の写真を見られる

▼パソコン画面が映し出す世界では、簡単に国境を越えられる。米国から欧州、アフリカにアジアと自由に移動できる。知らない街に行った気分になり、驚きや発見も多い

▼昨今は気軽に旅行することが困難な状況。来訪自粛を求める県内離島もあり、海外旅行となるとハードルはさらに高くなる。そんな中、オンラインを活用した旅行が注目される。さまざまな場所と中継で結び、現地の人との交流や観光、買い物などができる▼宮古島のビーチ散策や座間味島の自然観察など、沖縄関連でも多彩なプランがあるようだ。オンラインで魅力を発信し、実際の誘客につなげる効果も期待できる

▼高齢者や体が不自由な人もオンライン旅行を活用しているという。長距離の移動が難しくても、自宅で旅の気分を満喫できる。観光地などにあるカメラ付きのロボットを遠隔操作し、ロボットの映像を通して現地にいるような体験ができる技術も開発される▼俳人の松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出発したことから、5月16日は「旅の日」。年齢や障がいの有無で線引きされず、誰もが自由気ままに世界を周遊できる。ボーダーレスな旅ができる時代は、目の前まで来ている。

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