走られまくった佐々木朗希の“未熟さ” 単調な「マウンド捌き」と「投球後の姿勢」

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

5回6安打5奪三振4失点も…投球以外の部分に多い改善点

■ロッテ 6ー6 西武(16日・ZOZOマリン)

“令和の怪物”こと、ロッテの佐々木朗希投手が16日、プロ2年目にして1軍デビューを果たした。本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われた西武戦に先発し、5回6安打5奪三振4失点(自責点2)。降板後に4番手の唐川侑己投手が2点リードを追いつかれ、プロ初白星はお預けとなった。最速154キロの速球をはじめ、見せつけた超一級品の素材。一方で、5イニングで5盗塁を許すなど、課題も浮き彫りになった。

初回先頭の若林に左前打で出塁されると、続く源田のカウント3-1からの5球目に二盗を許した。3回には先頭の金子に一塁手・レアードのエラーで出塁され、続く若林への投球前に牽制球を2球投じたものの、初球にあっさり盗塁を決められた。直後に、若林に中前適時打を浴び、さらにこの日2個目の二盗まで許した。4回2死から遊撃内野安打で出塁した金子にも、この日2個目の二盗を献上し、5回先頭の源田にも四球を与えた後に走られた。結局、5度走られて(若林2、金子2、源田1)1度も刺せず。7回に3番手のハーマンが登板すると、初回からそのままマスクをかぶっていた佐藤都が二盗を2度刺したのだから、佐々木朗が投球モーションを盗まれていたのは明らかにも見えた。

「佐々木朗はセットポジションに入り、いったん静止してから足を上げ始めるまでの時間が常に同じでした。俊足が売りの若林、金子、源田にとっては、おいしくてしかたがなかったでしょうね」。こう指摘したのは、現役時代に日本ハム、ヤクルト、阪神、横浜(現DeNA)で計21年間捕手として活躍した野球評論家、野口寿浩氏だ。

クイックモーションの速さもプロとして合格点未満

クイックモーション自体も、決して速い方ではない。ストップウォッチを手に試合をチェックした野口氏によると、佐々木朗の場合、投球動作の始動から捕手がボールを捕るまでのタイムは概ね1.28~1.31秒。最速でも1.26秒だった。「1.1秒台なら速い方。1.25秒までなら合格点。佐々木朗はもう少し改善が必要でしょう」と解説する。さらに、こうも言う。

「ひょっとすると、セットポジションで静止した時のスタンスの幅、つま先の向きなどに癖があって、牽制するのかホームへ投げるのかがわかりやすかった可能性もある。2軍戦の登板を偵察しただけでも、そういう情報は取れますから。動画などでチェックする作業が必要でしょう」

また、投げ終わりにも注文を付ける。「投球後の守備姿勢に、一塁側へ流れがちな欠点がある」。4回2死からの金子の遊撃内野安打は、フィールディングの上手い投手であれば投ゴロとして処理できた打球だった。

とはいえ、未完の19歳に現時点でそこまで求めるのは無理というものだろう。挙げられた課題は、いずれも投球以外の部分。投げている球は超一級品だけに、野口氏は「セットポジションで足を上げるタイミングは、意識すればすぐに直せるし、クイックや守備姿勢も練習すれば改善できる」とうなずく。令和の怪物は、登板ごとに成長の跡を見せてくれるはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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