飯島真理「遥かな微笑み ―黄土高原―」こだわりサウンドに聴くシティポップの片鱗 1986年 7月21日 飯島真理のシングル「遥かな微笑み ―黄土高原―」がリリースされた日

声優、シンガー、ソングライター、ミスDJ… シティポップでも注目

飯島真理さんと言えば、声優としても大いなる名声を極めておるその一方で数々の作品を世に送り出しているシンガー、そしてソングライターとしてもまた大いに著名であります。いわゆる『超時空要塞マクロス』を筆頭にするアニソンの名声は、私ごときが語るに及ばないところではございます。

… が、その一方で飯島真理さんには数々の意欲作があり、昨今のシティポップへの注目を契機にまた注目を浴びていると言えるでしょう。私としてのイメージは『ミスDJリクエストパレード』の素敵なMCのお姉さまです。ハツラツとしたおしゃべりは大好きでありました!

原曲は坂本龍一、飯島真理流に解釈した「遥かな微笑み ―黄土高原―」

さて、今回のご紹介と相成りますのは、飯島真理さんのデビューアルバム『Rosé』のプロデューサーである坂本龍一氏が1986年に発表したアルバム『未来派野郎』に収められている「黄土高原」を、彼女なりの解釈を通じて作詞をし、編曲をシティポップマイスターである井上鑑氏に委ねた「遥かな微笑み ―黄土高原―」についてお話させていただければと思います。

オリジナルである坂本氏の作品はソリッドなトラックにメロディアスなピアノを基調としたインストルメンタルですが、本作はエスニックなテイストのイントロからスタートします。

当初は打ち込みメインかと思ったところに徐々に伸びやかなギターが重なったのちに彼女の伸びやかなボーカルが光ります。コーラスワークは非常に洗練されており、壮大な世界観を演出しております。そして後半に進むにつれ、フレットレスベース、ギターのアンサンブルが加わることによって力強さを増していくわけであります。

編曲は井上鑑、歌詞の世界観は自然への愛

このあたりは流石シティポップマイスター井上鑑氏の面目躍如たるところであります。歌詞の世界観は自然への愛、といったところ。一見ラブソングともおもわれるところではあるのですが、海、空、大地、光といったキーワードを巧みに取り入れることによって今生きている世界への愛を唄っているというのが素直なとらえ方ではないでしょうか。

まったくの余談ではあるのですが、この曲のカバーについて、当初坂本氏は快諾したらしいのですが、歌詞の内容がどうも坂本氏の意図した世界観と異なっていたらしくご立腹だったという話もあるようですが、私としてはスケールの大きなラブソングになっており良いのではないかなぁ… と思ったりするのですが、皆様は如何でございましょうか。

洋邦トップクリエイターたちと取り組んだサウンドへのこだわり

飯島真理さんはデビューから坂本龍一、吉田美奈子、清水信之などの日本人トップクリエイターにプロデュースやライティングを依頼し、また、TOTOのジェフ・ポーカロ、ジョセフ・ウイリアムズ、ネイザン・イーストなどの参画を得るなど、そのサウンドへのこだわりは大きなものと感じられるアーティストであると思います。

その結果として、飯島真理さんの作品は “シティポップ” として高い評価を得るに至ったと思いますが、本作の場合は、そのサウンド志向のアプローチの中で、バラードとは一味違う、今でいう “チルアウト” 的なテイストを届けようという意図があったように思います。

当時としても稀有なテイストを持つ壮大なスケールの本作「遥かな微笑み ―黄土高原―」、ご一聴の価値ありです。機会がございましたらぜひとも!

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カタリベ: KZM-X

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