現代の中国を描いた山水絵巻 映画「春江水暖~しゅんこうすいだん」が5月22日に上映

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 2019年に第72回カンヌ国際映画祭で批評家週間(国際批評家連盟が運営し、選ぶセクション)のクロージング作品に選ばれ、「驚嘆の傑作」と評されている「春江水暖~しゅんこうすいだん」(2019年、中国)が、5月22日(土)に山口県教育会館(山口市大手町2)で山口県内初上映される。中国の新鋭、グー・シャオガン監督が手掛けた長編(150分)で、日本国内では、今年2月から全国で順次公開されている新作映画だ。上映時間は、午前10時半、午後2時、7時からの3回。

 舞台は、大河・富春江が流れる杭州市富陽。開発が進む中国だが、山水画そのままの風景が今も各地に残っている。富陽もそんな街の一つだ。そこに暮らす顧一家はある夜、老いた母の誕生日を祝っていた。しかし、祝宴の最中に母が脳卒中で倒れてしまい、それをきっかけに認知症が進行。家族の中で誰が介護をするかという問題が持ち上がる。顧家の長男は中華料理店の店主だが、経営は決して楽ではない。長男の妻は、娘を金持ちと結婚させようとするが、彼女には恋人がいる。次男は漁師をしており、家はあるが船上暮らしを好む。しかし、その家も再開発で立ち退きが決定する。三男は妻と別れ、男手ひとつでダウン症の息子を育てている。賭博に手を出し借金を抱え、息子の治療費を得るために危ない橋を渡る。四男は再開発地域の解体作業員で気ままな独身暮らしを送っている。

 借金苦、介護、結婚、親子の確執など、さまざまな問題を抱えながらも現代社会に懸命に生きる中国の大家族の営みが、美しい山水絵巻のようにスクリーンに映し出される。

 ちなみに作品のタイトル「春江水暖」は、宋代の詩人・蘇東坡が富春江の風景をうたった代表的な詩「恵崇春江晩景」の一節からとられている。

 前売り券は一般1500円。同館、山口市民会館、YCAMなどで購入できる。当日券は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。電話予約・問い合わせは、主催の西京シネクラブ(TEL083-928-2688)へ。

 なお、同クラブでは新型コロナウイルス感染予防として、マスクの着用と、座席間隔を確保するために上映開始後の入場禁止を求めている。また、開催直前に状況が変化した場合は、やむを得ず開催を延期する場合もあるという。

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