ピーター・ガブリエル「スレッジハンマー」のビデオに脳天ガツンとやられました! 1986年 5月19日 ピーター・ガブリエルのアルバム「So」がリリースされた日

80年代に活躍したジェネシスのメンバー、ピーター・ガブリエル

80年代においてジェネシスといえばフィル・コリンズ… ですよね?

ソロでもグループでも大ヒットを記録。他のアーティストとコラボもする、他のアーティストのプロデュースもする、バンド・エイド、ライヴ・エイドにも参加するなど大活躍でした。ギターのマイク・ラザフォードもマイク&ザ・メカニックス名義でヒットを飛ばしてましたよね。

でも、80年代に活躍したジェネシスのメンバーといえばピーター・ガブリエルを忘れてはいけません。すでにジェネシスを脱退してかなりの年月を経てはいましたが…。

私がピーター・ガブリエルを知ったのはアルバム『Ⅳ』をリリースした1982年頃。シングルカットされた「ショック・ザ・モンキー」のMVによってでした。イントロのシンセが印象的な佳曲だなと当時思ったものですが、音楽誌のレビュー等でも評価は高いが小難しさを感じていました。ちょっとハードルが高そうだなと。ということでアルバム購買には至らずスルーしてました(というか断念)。

とてつもなく気合の入ったMV「スレッジハンマー」

しかし1986年の次作『So』のリリースによって、もっと早くこのアーティストに触れておくべきだった! と後悔することになります。

まず、とてつもなく気合の入った「スレッジハンマー」のMVに文字通りガツンとやられます。クレイアニメのコマ撮りと実写の編集が素晴らしい傑作ビデオ、当時クレイアニメという言葉も知りませんでした。

そして楽曲の良さに魅かれてアルバムも即買いでした。ちなみにこの「スレッジハンマー」は皮肉にもジェネシスの「インヴィジブル・タッチ」を引きずり落として全米1位を獲得、ピーター唯一の1位獲得曲になりました。

3曲目のシングルカットになったケイト・ブッシュとのデュエット「ドント・ギヴ・アップ」もじんわり盛り上がる名曲なんですが、二人が抱き合いながら歌うだけ、しかもデ・パルマもびっくりの360度回転撮影しただけの “どシンプル” ビデオがまた度胆を抜いてくれました。その後私は、他の曲も含め非常に完成度の高い、この『So』というアルバムをきっかけにピーター・ガブリエルというアーティストにズブズブとのめり込んでいくのでした。

アルバム「So」キャッチーでポップ、美しいメロディが結実

そうして様々な検証の結果、『So』は過去のアルバムと比べてかなりキャッチーでポップにつくられていたんだな、ということがわかったのですが、決してヒットに飢えて媚びてキャッチーにしたわけではなく、そもそも彼が持っている美しいメロディーがここに結実したのだということが伺えます。

確かにソロの初期は重い楽曲が多くて本当はこの人かなり暗い人なんじゃないかなとも思ったりします。しかしながらソロアルバムのタイトルが1枚目から「Ⅰ → Ⅱ → Ⅲ → Ⅳ」と続いて、レコード会社からさすがに「Ⅴ」はやめてくれと言われ、「ド → レ → ミ → ファ」に続く「ソ」(So)をアルバムタイトルにしてしまうお茶目っぷり。

うーん天才、恐るべし。

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※2016年10月2日、2018年2月13日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: DR.ENO

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