PMSのつらい腹痛対策を薬剤師が解説!生理前のお腹の痛みを改善しよう

生理前の腹痛はPMSの代表的な症状

生理前の腹痛がつらくて仕事を休んで寝込んでしまう、亜美さん(仮名)32歳女性のエピソードをご紹介します。

彼女は新卒で入社した会社に10年ほど勤めており、普段はバリバリとデスクワークで仕事をこなしていました。年齢的に周囲では昇格の話も出るようになり、そろそろ自分も…と考えていました。

「生理前になると下腹が張って鈍い痛みに襲われ、月に一度は仕事を休んで寝込んでしまうんです。最近は下腹の痛みに加えて腰も痛くなり、椅子に座っているのもつらいんです。

『亜美さんはまた休みなのか。体調管理も仕事のうちだぞ!』
『生理前につらいのは私たちだって同じなのに、亜美さんは休みすぎじゃない?』

上司や同僚からはこんなふうに言われてしまい、誰にも理解してもらえそうにありません。このまま昇格は諦めなければならないのでしょうか」

このような生理前の腹痛は、PMSの代表的な症状のひとつ。
亜美さんのように、生理前のつらい腹痛を周囲の人に理解してもらえず、つらい思いをしている女性は非常に多いです。

生理前の腹痛を理由にキャリアアップを諦めてしまう前に、ぜひPMSの原因や対処法について理解を深め、体調を整えていきましょう。

なぜ生理前にお腹が痛くなるの?

生理前にみられるイライラや腹痛、眠気、頭痛などの心身の不快症状のことを月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)と呼びます。生理前の3~10日くらい前に現れ、生理が始まると症状が軽快していくことが特徴です。

PMSの原因ははっきりとはわかっていませんが、生理前に急激に減少する女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。

PMSの腹痛対策3選

生理前の腹痛には、普段から女性ホルモンを整えることが大切です。適度な運動・質の良い睡眠・栄養バランスのとれた食事などを心がけるほか、からだを温め、リラックスや休息をしっかりとりましょう。
今回は、誰でもすぐに取り入れられる方法として、おすすめのケア方法を3つご紹介します。

【1】たった1分のセルフケア!PMSの腹痛に効果的なツボ押し

今回は、自宅やオフィスでも自分で簡単にできる、便利なツボをご紹介します。

■お腹のツボ

  • 関元(かんげん)……おへそから指4本分下に位置します。
    からだを温めて不調を改善してくれる効果が期待できます。
  • 中極(ちゅうきょく)……恥骨の上から指2本分上に位置します。
    下腹部の冷えを取り、PMSの腹痛に効果が期待できます。

■膝のツボ

  • 陰包(いんぽう)……太腿の内側にあり、膝頭の真横から指6本分上に位置します。
    中指をツボに当てて深く押すことで、血液の滞りやPMSのイライラ改善にも効果が期待できます。
  • 血海(けっかい)……膝のお皿の内側から指3本分上に位置します。
    ゆっくりと息を吐きながら親指で刺激することで、生理前の腹痛を和らげる効果が期待できます。

これらのツボを気持ちいいと感じる程度に、息を吐きながら数回ゆっくりと押してみましょう。ツボの位置がわかりにくい場合は、カイロなどで温めるだけでも効果が期待できます。

【2】おうちで簡単!ゆっくり薬湯に浸かろう

薬湯(くすりゆ)とは、薬草や薬品が入った薬効の高い湯のことです。薬湯に浸かると生理前の腹痛など、PMS症状の改善のほか、さまざまな不調の改善に効果が期待できます。
自宅で薬湯を行うには、手に入りやすく温熱効果の高い「しょうが」を用いるのがおすすめです。

■しょうが風呂
しょうが1/2個分をすりおろし、布袋またはハンカチに入れて口を縛ります。これを入浴15分前に、40℃くらいのぬるめの湯船に浮かべておきます。
あまり長時間浸かると肌の乾燥などにつながるため、入浴時間は15分程度がおすすめです。

【3】漢方で生理前の腹痛改善を目指そう

生理前の腹痛を根本から何とかしたい方には、漢方薬で体質改善を目指す方法がおすすめ。自然の生薬からなる漢方薬は一般的に副作用が少ないといわれ、からだの内側から心身全体のバランスを整えることができます。
漢方薬を用いてPMSの腹痛改善を行うと、イライラ、不安感、便秘などの諸症状が同時に改善することもしばしばあります。

漢方では、月経前は子宮に血液が蓄えられるため、気(生命エネルギー)、血(血液)、水(血液以外の体液)が滞り、PMSが起こると考えられており、とくに生理前の腹痛がつらい方は「血」の流れが滞っていると考えられています。
そこで今回は、「血」のめぐりをよくする漢方をご紹介します。

■PMSの腹痛におすすめの漢方薬2種

漢方薬は体質や症状に合っていないと効果がでにくく、副作用が生じることもあります。
漢方薬を選ぶ際は、ご自分の状態や体質に合っているかということが重要です。
オンライン漢方サービスに相談し、漢方に精通した薬剤師の力を借りるのもおすすめですよ。薬剤師がAI(人工知能)を活用し、個人に効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が便利です。

PMSの腹痛を楽にして、心もからだもぽかぽかになろう

生理前の腹痛を少しでも楽にするには、生活習慣を見直して女性ホルモンを整え、冷えやストレスに気をつけることが重要です。
ぜひリラックスしながらセルフケアを実践して、心もからだもぽかぽかにしてみてくださいね。

また、症状がなかなか改善されず、生活に支障が出るほど重い場合は、PMS以外の病気が原因の可能性もあります。我慢せずに必ず医療機関に相談しましょう。

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