消防職員のスキルアップ一助に 上越消防局開発アプリ「火災シミュレーションアプリ」  文科大臣賞受賞

 上越地域消防局が開発した「火災調査シミュレーションアプリ」がこのほど、本年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で創意工夫功労者賞を受賞した。21日に上越市藤野新田の同局で表彰式が開かれ、アプリを開発した上越消防署の入村宗消防司令(41)、開発に協力した同局総務課の清水聡消防司令補(33)が表彰された。

文部科学大臣表彰を受賞した入村消防司令(左)と清水消防司令補(右)

 同アプリは、火災が減少しベテラン職員が退職するなど、消防職員が経験を積む機会が減る中、ゲーム感覚で自ら学べる新教材として開発された。令和元年の予防業務優良事例表彰で最高位の消防庁長官賞、令和2年の全国消防協会主催の「消防機器の開発及び改良」で最優秀賞を受賞。5月21日現在、全国の消防本部や消防学校など217機関で教育教材として導入されている。

全国から貸し出し要請

 表彰式では管理者に代わり、池田聡局長が賞状と感謝状を授与。「全国からアプリの貸し出し要請が絶えないなど、地域の垣根を越えた消防業務への多大な貢献」と二人に感謝し、「今後も蓄積された知識、経験を発揮し、地域住民を守る業務にまい進してほしい」と激励した。

 プログラミングから作曲、脚本まで開発のほとんどを一人で手掛けた入村消防司令。続編開発の要望やコロナ禍による自主研修での利用増など、予想外の反応を喜ぶとともに「悲惨な火災を減らすことを願って作り、それが全国に広がったことを評価してもらいうれしく思う。これからも挑戦を続け、市民の期待に応えたい」と話した。開発補助に当たった清水消防司令補も「評価され感無量。火災減少や多くの職員に役立ててほしい」と願った。

 アプリは一般への貸し出しはしていないが、動画投稿サイトのユーチューブの上越地域消防局公式チャンネルで一部が視聴できる。

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