覚悟の紙おむつ 看護師の“叫び” コロナ禍、過酷な医療現場訴え

 新型コロナウイルス感染拡大による医療逼迫(ひっぱく)を踏まえた長崎県の「医療危機事態宣言」が発令されている中、県看護協会には、感染リスクを伴う過酷な現場に置かれた看護師たちから、心身の疲労や周囲の無理解など、さまざまな悩み、葛藤、叫びが寄せられている。
 会員は県内の病院や診療所、福祉施設、保健所などに勤務する看護師、准看護師、助産師、保健師ら約1万人。このうち看護師が約9割を占める。同協会は電話やメールで相談や意見を受け付けている。
 全身を覆う防護服の着脱は難しく、時間がかかる。40代の女性看護師は、着たまま4時間過ごせるよう水分摂取を控え、万一に備えて紙おむつを着用している。「精神的にも肉体的にもきついが、誰かがやらなければならない。覚悟して働いていることを知ってほしい」と訴えた。
 別の女性看護師は、家庭の事情で最前線のコロナ専用病棟で働くことを避けたため、責任を果たせず心苦しく思っている。「妊娠中で感染が怖い」といった不安や、ワクチンの優先接種を促される立場から「アナフィラキシーの経験があり、接種を受けるのは無理」と周囲の理解を求める声も。ある看護師は、保育園に子どもを迎えに行くのが仕事で遅れた際、「コロナ患者に対応していたからか」と聞かれ、警戒されていることにショックを受けたという。
 「病院全体が一丸となって困難を乗り越えようと努力しており、その一員として精一杯頑張りたい」。厳しい環境の中でも前を向く看護師もいた。

 


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