【新型コロナ】「歩くのが遅い人」は死亡率最大3.75倍 英の研究で判明

 肥満の人や基礎疾患がある人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが通常より高いことは知られているが、イギリスで国内の中高齢者42万人弱のデータを解析したところ、それらとは関係なく「歩行速度が遅い人」の死亡リスクが通常より最大3.75倍も上がることが明らかになった。

「肥満で速く歩ける人」より「普通体重で歩くのが遅い人」の方が死亡率が高かった

 この研究は、2006年から中高年の健康に与える影響を調べるため、約50万人もの遺伝子を採取し、生活習慣、運動能力なども調査する「UKバイオバンク」の取り組みの一環として行われた。バイオバンクに登録していた人の中で新型コロナに感染し重症化した人が1001人、死亡した人が336人おり(2020年8月24日時点)、バイオバンク登録者の中で調査できる41万人あまりのデータを対象に、肥満度の指標であるBMI(Body Mass Index)と歩行速度が関連しているかを解析した。歩行ペースに関しては時速3-4マイル(時速4.83-6.44km)を平均とし、それ以下を「遅い」、それ以上を「速い」と分類した。

 その結果、BMIが通常レベルで歩行が低速の人は、同じBMIレベルで速く歩ける人と比べ新型コロナの重症化リスクが2.42倍、死亡率が3.75倍だったことが明らかになった。さらにBMIで肥満あるいは過体重とされる人で速く歩ける人と、通常レベルのBMIで速く歩ける人を比較した場合、重症化リスクは1.39倍、死亡率は2.58倍だった。つまり「肥満で速く歩ける人」より「普通体重で歩くのが遅い人」の方が重症化リスクも死亡率も高かったのである。

 研究グループでは、新型コロナのリスク予測にBMIと運動能力テストが有効であることを示唆するものだとしており、公衆衛生の様々な研究でこの2つを組み込むよう検討することを求めている。

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