「侍の5番よ? 打つに決まってる」 純朴な19歳オリ宮城の溢れる才能に指揮官も感嘆

オリックス・宮城大弥【写真:荒川祐史】

開幕5連勝は球団の左腕では1953年の阿部八郎以来「1900は生きてないんで…」

■オリックス 14ー5 DeNA(26日・横浜)

驚異の19歳だ。プロ2年目のオリックス・宮城大弥投手は26日、敵地・横浜スタジアムで行われたDeNA戦に先発し、6回を4安打7奪三振3失点。打線の18安打14得点の大量援護も受け、無傷の開幕5連勝を飾った。さらに初の交流戦で、プロ初打席初安打までマーク。プロ入りこそ“外れ外れ1位”での入団だったが、現時点で同学年のロッテ・佐々木朗希投手、ヤクルト・奥川恭伸投手をはるかに上回る実績を残している。いったいどこまで凄いのか。

「野手の援護がたくさんあったので、集中を切らさずに投げられたのが良かったと思います」。謙虚に振り返ったが、MAX151キロの速球を軸に緩急を使い、4回1死まで1死球を与えただけで無安打投球。既に10点リードしていたこの回、オースティンにバックスクリーン左へ2ランを浴びたものの、危なげは全くなかった。

高卒2年目での開幕5連勝は2003年の寺原隼人氏(ダイエー=現ソフトバンク)の6連勝以来で、球団では史上初。球団の左腕投手としては、1953年の阿部八郎氏の開幕10連勝以来の快挙だ。「1900(年代)は生きてないんで……」と本人には実感がないようだが、防御率2.32も同僚の山本由伸投手(2.37)らを抑え堂々のリーグトップである。

2回先頭で迎えたプロ初打席では、DeNA先発右腕の大貫に対し、カウント0-1から膝元に来たカーブを見事に中前へクリーンヒット。「まぐれです。まさかカーブが来るとは思わなくて、振ったら当たって、いい所に飛んでくれた」と言うが、プロのカーブはそう簡単に初見で打てるものではない。

中嶋監督「宮城が打ってくれたら野手も火がつくでしょ」

しかも本人は「その後がちょっと悪かった」と、第2打席以降の3打席連続三振を反省したのだから恐れ入る。「警戒されちゃって、フォークが来たのでびっくりしました」と苦笑した通り、相手2番手の中川と対戦した第2打席で1球、第3打席では2球フォークを投じられた。「まずは打席よりピッチングですが、その次にチームに貢献できるバッティングをしていきたい」と大真面目に語った。

中嶋聡監督は「ジャパンの5番よ? 打つに決まってんじゃん」とおどけた後、「宮城がああやって打ってくれたら、野手も火がつくでしょ。それは本当に思います」と目を細めた。沖縄・興南高3年の夏は県大会決勝で惜敗したが、高校日本代表に選ばれ、甲子園大会後に韓国で行われた「WBSC U-18ワールドカップ」に出場。3試合に登板して防御率1.04をマークする一方、打っても打率.375(8打数3安打)。「6番・左翼」で2試合にスタメン出場した他、オープニングラウンドのパナマ戦では5番打者の代わりに試合途中から左翼の守備に就いた。

あまりの完成度の高さ、早熟ぶりに来季以降伸び悩まないか心配になるが、少なくとも本人に慢心はない。「一発が続いているので、次はなくしたいです」と3試合連続で本塁打を浴びている点を反省した。

出身地の沖縄・宜野湾市はDeNAの春季キャンプ地。「中学生の頃に見に行ったんですけど、(沖縄出身の)嶺井さんとかしか名前がわからなくて……。当時はプロ野球自体があまりわからなかった」と語る純朴さはそのままに、どこまでも伸びていってほしい若武者だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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