不完全燃焼となった決勝に「単純に力量が及んでいない」/角田裕毅の海外メディア評 F1第5戦

 FIA−F2に参戦していた2020年シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催されなかったため、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)にとっては今年が初走行となったモナコ。角田は木曜日のフリー走行2回目でクラッシュしたことで走行機会を逃し、予選では0.018秒差でQ2進出を果たせず16番グリッドに沈む。ハードタイヤで臨んだ決勝レースではスタートで順位を落とし、前を走るウイリアムズ勢に抑え込まれ16位でチェッカーを迎えた。

 第5戦モナコGPはフリー走行1回目で9番手タイムを記録し、レースでもタイヤ交換後に一時ファステストラップを記録するなどペースはもっていただけに、予選順位さえよければと思わずにはいられないレースとなった。今回も採点を通じて海外メディアが角田にとって初めてのモナコGPをどう捉えたのか見ていこう。

 F1専門サイトF1i.comが角田につけた点数は10点満点中の5点。4.5点のフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)に次ぐ厳しい評価が下された。F1iは角田のこれまでのシーズンを「バーレーンGPのあとはF1ルーキーに典型的な試練と困難に見舞われてきた」と表現する一方、今回のモナコGPは「予想外にも単純に力量が及んでいなかったようにみえた」と指摘する。

 たしかに今回のレースでは角田はスタートを除けば目立ったミスをほとんど犯さなかったが、同時にハードタイヤでのスタートという戦略をうまく機能させることができず、見せ場を作ることもほとんどなかった。それだけに今回のレースはどこか物足りないものに映り、『実力不足』の烙印を押されてしまったのだろう。もちろんモンテカルロ市街地コースがオーバーテイクの極めて難しい特殊なコースであり、ハードタイヤでのスタートはセーフティカーの導入などイレギュラーがなければ難しいものとなるのは考慮に入れなければいけないが、それでも不完全燃焼感があったことは否めない。

 イギリスの放送局スカイ・スポーツは10点満点中の4.5点という評価を下した。これはリカルドと並ぶ全ドライバーワーストの評価だ。スカイは角田に対して「(ピエール・)ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)の結果を考えると、角田の予選Q1敗退は極めて残念だ」とコメント。予選Q1で16番手敗退を喫した角田と対象的に、チームメイトのガスリーはQ3に進出し6番手を獲得してみせた。スカイにとってこの差は低評価を与える十分な理由になった。

 ただ、今シーズンのF1の予選は極めて僅差での争いが続いている。モナコGPの予選Q1でトップタイムを記録したバルテリ・ボッタス(メルセデス)から16番手の角田までの差は1.158秒と、見かけの順位ほどにタイム差は大きくない。少しのタイムアップで大きく順位をあげることが出来るだけに、角田にとってはやはり予選の改善が大きな課題となる。

 次戦はまたしても市街地コースで行われるアゼルバイジャンGP。モナコに比べるとオーバーテイクのチャンスの多いバクー市街地コースだが、予選が重要なファクターになるのは間違いない。モナコで1レースを走りきり走行経験を積んだ角田には上位での争いを期待したいところだ。

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