日本未発見の「ニホンイトヨリ」を鹿児島で初確認…「魚の分布は人の分布」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。5月17日(月)放送の「FLAG NEWS」では、日本で初めて確認された“ニホンイトヨリ”に着目しました。

◆日本でニホンイトヨリを初確認!

名前に"ニホン”と付きながら、日本では未発見だった魚「ニホンイトヨリ」が、鹿児島県の種子島沖で初めて確認されたと鹿児島大学総合研究博物館と鹿児島水族館の研究チームが発表。今回発見されたニホンイトヨリは、今年1月に種子島在住の男性が釣り上げたもので、ニホンイトヨリは台湾や東南アジアに多く生息しており、初期の発育段階に台湾周辺の海域から黒潮によって偶然運ばれ、種子島周辺に定着し、成長した可能性が高いと発表しています。

これを「夢のあるニュース」と目を輝かせていたのは、岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さん。今年1月に駿河湾で「ヨコヅナイワシ」という新種が発見されたこともあり、「科学の時代になってなお、海には新しい発見がある。やはりロマンに溢れた場所」と声を弾ませます。

そもそも、この魚がなぜ"ニホン”と付けられているのか。200年以上前、ドイツの学者が「ジャポニカス」という学名を付け、その後に和名として「ニホンイトヨリ」と付いたわけですが、「当時、ヨーロッパの人から見ると、おそらくアジアの認識が今ほどはっきりしていなかった」と鈴木さん。名付けの際、インドネシア産の標本を日本のものと誤認したことから、この名前が付けられたそうで、鈴木さんは「ここにきてようやく本当に日本の魚になれたというのがすごくいいこと」と喜びます。

◆鈴木香里武が熱弁「魚の分布は人の分布」

魚の分布について、図鑑では「○○湾から○○湾まで生息している」とよく記載されていますが、鈴木さんは今回のようなニュースを見るたびに「結局はその魚を発見する人がいるかどうかではないか」と感じるそう。というのも、ニホンイトヨリも釣り人が違和感を覚え、学者のもとに持っていったことから発覚したため、「そのちょっとした違いに気付ける人の目があるかどうか。研究者や気付く人が全くいない場所だったら、魚がいたとしても分布域として認定されない。"魚の分布は人の分布”」と主張します。

また、魚の研究をするにも費用が必要で、研究者の待遇面など厳しい現状もあるようで、そこは鈴木さんも「研究者の端くれとして思うところはある」と言及。「日本は島国で海に囲まれたとても恵まれた国なので、魚の研究はもちろん、一般の人も魚に対する親しみがより増したら、こういう発見もさらに増えてくる」と期待を寄せます。

ここでキャスターの堀潤から質問が。それは昨今、海の環境も変化し、今回のようにこれまで見られなかったものが見えるようになり、これを良しとするのか、警告と見るのかということ。

すると鈴木さんは「毎年漁港で観察していると、黒潮の影響もあり、南のほうのカラフルな魚が関東の漁港にも増えている」と語る一方で、「その分、関東にいた魚が北上しているというのもある」と言います。そして、「良い悪いというのは今の時点だけで言える話ではない」とし、それよりも「この先、ずっと魚が過ごしやすい海を守るという意識をちゃんと持つべき」と訴えます。

キャスターの田中陽南は、「漁港というと、プラスチックごみの問題や、今は(使用済の)マスクが(海洋)ごみとして増えているという問題も聞くので、こんなに綺麗な魚が来てくれる海だから守りたいと思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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