「F1で限界を極める」ことの難しさに苦労する角田裕毅。無線での対話の重要性も痛感

 アルファタウリ・ホンダF1の角田裕毅が、F1ポッドキャスト『Beyond the Grid』のインタビューに答え、デビュー戦がうまくいった後、自分に過大な期待をかけてしまったと語った。また、今の課題として、F1マシンでミスなく限界ぎりぎりの走りをすること、走行中のチームとのコミュニケーションの改善を挙げた。

 角田は開幕戦バーレーンで多くのオーバーテイクを見せて9位を獲得、入賞を果たした。多くの称賛を浴び、注目を集めた角田だが、その後はエミリア・ロマーニャでは12位、ポルトガルでは15位、スペインではトラブルでリタイアを喫し、モナコでは16位という結果にとどまっている。

 F1ポッドキャストのインタビューにおいて、バーレーンGPの後、自分自身が目標を高く設定しすぎたと考えているかと聞かれ「正直いって、そう思います」と角田は答えた。

「バーレーンではとてもうまくいきました。ミスはあり、予選Q2で敗退しましたが、デビューレースでポイントを獲得できたのです。それで、その後に向けた自分の期待がとても高くなったと思います。特に次のイモラでは、トップ5を目指していました。間違いなく、高すぎる目標を立てていました」

「(イモラの)予選で、すごいラップ、夢のラップを走ろうとしました。でもQ1ではそういうことをする必要はありません」

「アドレナリンとモチベーションがそういう感じになっていて、結局ウォールに突っ込んでしまいました。シーズン序盤、僕はとても大きな期待を持ち、目標が高すぎたのだと思います」

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)が予選でクラッシュ

 角田は今もF1、そしてアルファタウリAT02に馴染もうとしている過程にあるという。

「まだマシンを完全にコントロールできているとは感じていません。80パーセントか70パーセントぐらいで走らせるのは、さほど難しくありません。ダウンフォースが高いので、自信を持って走ることができるんです」

「でも、F1では限界を超えると、スナップが出て、バリアに直行することになります。ですから、限界に至るまではそれほど難しくないのですが、たとえばクラッシュやスピンをすることなく、99パーセント、あるいは100パーセントの限界を見つけることが簡単ではないのです」

2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

■「無線でつい叫んでしまうのが自分の欠点」と角田

 角田はまた、今の大きな課題は、走行中に自分をコントロールし、冷静にチームと対話できるようになることだと語った。今年、何度か角田が無線で興奮している様子がF1の国際映像で取り上げられた。

「自分自身をコントロールすることが今の自分にとって一番のテーマです。特にバルセロナでは完全に制御がきかない状態でした」

「理由は分かりませんが、無線のボタンを押してしまいました。必要がないのに、押してしまったのです」

「どういうわけか、彼らに叫ばなければならなかったのです。これは間違いなく僕の欠点なので、無線でのコミュニケーションについて改善する必要があります。あれ以来、無線の問題はよくなりつつありますし、今後もっとよくなると思います」

 角田は、予選ラップなどで集中している時に話しかけられるのは本当は好きではないとも明かしている。

「なぜだか(コクピット内で)熱くなりすぎてしまうのです。自分だけで自然にラップを走るのが好きで、プッシュラップで集中を乱されたくはありません。いいラップを走っているときは特にそうなのです。それはほとんどのドライバーが同じだと思います」

「でも、無線でのコミュニケーションはF1では特に、とても重要なことです。無線で叫んでも無意味です。アドバイスが欲しければ、今の問題は何か、今のマシンの限界は何かと冷静に尋ねれば、チームにサポートしてもらえます」

「こちらが叫んでいるだけでは、チームは何もできない。無線でのコミュニケーションは重要だと思っています」

2021年F1第4戦スペインGP スタート前にエンジニアと打ち合わせをする角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

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