〈じょうえつレポート〉板倉区3小統合 板倉小開校、効果と課題

 今年4月、板倉区の針、宮嶋、山部3小が統合、新たに板倉小が誕生した。開校から2カ月が経過した板倉小の現在を、学校生活を中心に追った。(平良木啓記者)

 板倉小の本年度の全校児童は152人。出身校の比率はおよそ針10、宮嶋4、山部3で、針小出身の児童が半数以上を占める。宮嶋小、山部小出身の児童にとっては、級友が数倍に増えた形となった。

 児童が新たな級友と仲良くなれるかは、統合での大きな課題の一つ。統合前から学年ごとに交流授業などを積極的に行うのが常だが、昨年度はコロナ禍で直接会うことができず、オンラインでの交流となった。できるやりとりには制限があったが、一方で「画面の向こうにいた相手が(4月になり)目の前にいる」という面白さが仲良くなるきっかけになった面もあったという。

 6年生の男子児童は「最初の1日は緊張していたが、先生がペアで話をする時間をつくってくれて、そこから話しやすくなった」と語る。5月28日には旧宮嶋小、山部小を行き先に全校遠足を実施。出身校を紹介し合うことでさらに仲良くなることを狙った。現在はすっかり打ち解け、昼休みなどに遊ぶグループは、出身校に関係なく構成されている。

多人数授業で積極性

 多人数で授業に参加することで、児童がより多くの考えに触れられることが統合の狙いの一つ。6月3日の5年生の家庭科の授業では、児童の積極的な発言のそれぞれに、他の児童から驚きや感嘆の声が上がっていた。昨年度は宮嶋小で勤務していた5年生担任の竹内真緒教諭は「昨年度は複式学級で、話し合いに限界があった。意見の数が増え、教え合いながら学べることは大きい」と話す。5年生の男子児童は「針の子も以前よりたくさん手を挙げるようになった」と話し、授業への良い刺激になっていることがうかがえる。

5年生の授業の様子。統合以前に比べ、より積極的に発言する児童が増えた

 前年度にオンライン交流を行った経験を生かし、同区のもう一つの小学校である豊原小と総合学習などで交流、連携を図る声が上がっている。板倉中を含めた3校での小中一貫連携が図りやすくなったのも統合効果だ。統合で校区が広がったことにより、総合学習の舞台が広がり、より多彩な学びができるという利点もある。

全校遠足では旧宮嶋、山部両小の校舎を訪問。校内を探検し、仲を深めた

児童4割バス通学 冬季運行や安全確保

 もう一つの大きな課題が通学だ。およそ4割の児童がバス通学。市の有償運送バスを利用し、時には一般利用者と同乗する。職員が毎朝バスの到着を出迎え、下校時には乗車前に名簿を確認するなどの対応を取っている。現在は乗り遅れ、乗り過ごしなどのトラブルは起きていないが、冬季の運行や、自宅とバス停の間の安全確保など、今後も気を付けることが多い。

児童の約4割がバスで登下校。一般利用者と同乗することもあり、社会性を学ぶ場になることも期待されている

ルールや行事 擦り合わせ必要

 学校ごとのルールや行事など、擦り合わせが必要な事項はまだまだ多い。3校のやり方を折衷する方法もあれば、全く新しいやり方を生み出す方法もある。竹田正子校長は「子どもたちが理解してルールを守っていくことが大切。板倉小の新しい歴史をつくる自覚を持つことや、意義の大きい1年目を一緒につくっていくことを児童に呼び掛けている」と語った。

© 株式会社上越タイムス社