アルツハイマー病の原因物質を減少させる世界初の治療薬、米FDAが条件付き承認

 米食品医薬品局は7日、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ」を減少させる効果が認められたとして、米バイオジェンと日本のエーザイが共同開発した治療薬を条件付きで承認した。今後さらなる臨床試験を行い効果を証明することが条件だが、これまで根治を目指す治療薬がなかっただけに、世界各国で実用化への期待が高まりそうだ。

FDA「約3500人規模の臨床試験で効果確認」

 認知能力を低下させるアルツハイマー病は、これまでの研究で脳内に「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質が蓄積されることによって発症する可能性が強いとされている。現在ある処方薬は、病気の進行を緩やかにする効果、あるいは対症療法にとどまるものしかなく、先進各国が高齢社会へ向かう中、病気の原因を取り除く治療薬の開発が強く求められている。

 今回両社が共同開発し、FDAの条件付き承認を得た「アデュカヌマブ」はこのアミロイドβを減少させる効果があるとされる。FDAに対し承認申請の際提出された3つの臨床試験(対象者合計3482名)の結果によると、「アデュカヌマブ」を投与した患者群では、その投与量と投与期間に応じ、アミロイドβの量が有意に減少したという。FDAはこの結果を評価し、今後さらなる臨床試験で結果を出すことを条件に臨床使用を認めた。

 迅速承認されたことで、「アデュカヌマブ」は米国内で患者に対する治療目的の使用が可能となった。ただし同時に臨床試験として治療成績のデータを収集しFDAに提出、効果を認められなければ認可取り消しとなる。長年期待されていた世界初の治療薬が米国内でどのような治療成績をもたらすのか、世界中の医療関係者が注目することになりそうだ。

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