少年隊「まいったネ 今夜」ニッキこと錦織一清に目を奪われた! 1989年 6月19日 少年隊のシングル「まいったネ 今夜」がリリースされた日

2020年、筒美京平逝去でハマった少年隊

2020年、私は少年隊にハマった。

1967年生まれの私は彼らと同世代。もちろん、1985年に少年隊が華々しく「仮面舞踏会」でデビューしたときのことは覚えている。だが、彼らのことは「あぁ、王道のアイドルね」くらいにしか思わなかった。この頃の歌番組では、チェッカーズや吉川晃司といった、やんちゃでとんがったアイドルに目がいき、正直ジャニーズは霞んで見えていた。

今になってハマったきっかけは、2020年秋の筒美京平逝去。追悼特集などで、テレビやラジオから流れる筒美作品の素晴らしさに改めて心を打たれ、某動画チャンネルの自動再生でさまざまな筒美作品を流していた。そのときに現れたのが、筒美作品を歌う少年隊だ。

「仮面舞踏会」「デカメロン伝説」「バラードのように眠れ」「stripe blue」「君だけに」「ABC」……。BGM代わりに流していた動画から目が離せなくなった。

これ、口パクじゃないよね? このとんでもないダンスをしながら、生歌ってすごくない!?

まるで往年のミュージカル映画「まいったネ 今夜」

特に新鮮だったのが80年代後半から90年代にかけてリリースされた曲の数々。こんなにじっくり観賞したのは初めてだ。「What's your name?」「じれったいね」「まいったネ 今夜」「封印LOVE」など、少年から青年へ移り変わる彼らに合わせて、アダルトになっていく曲の世界観。アクロバティックな動きや勢いで突っ走っていたダンスに、優雅さやエレガントさがプラスされたことがよーくわかる。

なかでもベストと感じたのが、1989年6月にリリースされた「まいったネ 今夜」。スイングジャズ調の曲で表現したのは、古きよきエンターテイメントの世界。ウッドベースが奏でるイントロから、もうドキドキさせる。ゴージャスなホーンセクション、軽やかなピアノの間奏、歌詞に乗せたのはリッチな美女との大人の恋愛。往年のミュージカル映画のようなキラキラ感が、この曲に詰まっているのだ。

そして、少年隊のダンスとボーカル。3人とももちろんカッコいいのだが、特に目を奪われたのがニッキこと錦織一清。歌い踊る姿がとにかく美しい。柔軟でしなやかなバネのような動き、ビシッと決めるポージングに目が釘付けになる。軽やかに舞い、すっと反対側のポジションに飛んでいく姿。靴に羽根でも生えてるのかしら。この人、バレエダンサーになっても成功できたのでは。

甘い歌声、微笑んだり、誘うようにウインクしたり、切なそうに目を伏せたりと、くるくる変わる表情もたまらん。はっきり言って、「まいったネ 今夜」はニッキのための曲だと思う。昔は、目立ちたがり屋のおしゃべりハンサムくらいにしか思っていなかったよ。ごめんネ、ニッキ。

少年隊再評価、みんなの目が肥えたことで気付いた凄さ

当時なぜ私は気づかなかったんだ。ニッキとかっちゃんがジャニーズ事務所を退所する年に気づくなんて、遅すぎたよ。

どうやら、最近になって少年隊にハマった人は、私以外にも大勢いるらしい。35周年ベストアルバムリリース、昭和歌謡ブーム、偶然目にした過去の動画、少年隊推しの西寺郷太氏の活躍など、人によってきっかけはさまざまだろう。

K-POPも含め、ダンスの上手いアイドルグループをたくさん観て、みんな目が肥えたことで、少年隊のすごさに気づかされた…… というのもあるんじゃないか。BTSすごいなぁとただただ感心していたのだが、日本にも少年隊というすごいグループがいたんだよね。

ニッキ公式ファンクラブ加入、何かを好きになるのに遅いなんてことはない

こうして、かなり遅れての少年隊推し、ニッキ推しになった私だが、これはこれで楽しい。新参者の少年隊ファンには、たくさんの発見がある。

少年隊がデビュー前からエンタメの英才教育を受けたこと。生前ジャニーさんが “ジャニーズ至上の最高傑作” と語ったこと。「デカメロン伝説」の「ワカチコ」は、スペクトラム「トマトイッパツ」の「ワッチコン」をヒントにニッキがアイデア出ししたこと。

いろいろな少年隊伝説を知るたびに、へぇーボタンを何回も押したくなる。何かを好きになるのに、遅すぎるなんてことはないのだ、きっと。

今年開設されたニッキのオフィシャルファンクラブ「Uncle Cinnamon Club」にも加入した。舞台演出家としての活動が中心となり、もうバック宙はやらないであろうニッキだが、今は今で素敵じゃないの。ちょっと立川談志風な今の見た目も、十分あり。エンタメやカルチャー全般に詳しいから、とにかくトークがおもしろい。先日発表されたソロ曲もいい。

「“YouTubeを見て、少年隊のファンになりました” という声には複雑な気持ちになる」と、先日ニッキが語っていた。映像の権利や、何万回再生されても3人の懐に一銭も入らないことを思うと、私も複雑な気持ちだ。でも残念ながら、これ以外で少年隊の映像を見る方法がないのだ。

だからこそ、ジャニーズ事務所とテレビ局にお願いしたい。数々の歌番組での少年隊の映像集をぜひ、リリースしてほしい。だってそれは、後世に残すべきものなのだから。

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